裁判所の種類

 

テレビのバラエティー番組などを見ていると、「訴えてやる!」なんて台詞が叫ばれるのをよく耳にするかと思います。

また、私たちの日常生活の中でも「訴えてやろうか?」なんて発言は耳にするものですが、実際に裁判を起こすとなると「一体何処で何をすれば良いのか?」が全く見当も付かないという方も多いはず。

もちろん訴訟を起こすとなれば、それなりの手続きが必要となりますが、それ以前に各々の事件を管轄する裁判所に申し立てをしなければなりません。

そこで本日は「裁判所の種類と特徴について」と題して、日本の司法制度における裁判所の種類について解説してみたいと思います。

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裁判所の種類

刑事ドラマや法廷ドラマなどを見ていると、実に様々な裁判所の名前が出て来ることと思います。

最もよく耳にする最高裁判所に始まり、家庭裁判所、簡易裁判所なんて名称も聞いたことがあるはずです。

実は我が国には、家庭裁判所、簡易裁判所、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所という5つの裁判所が存在しています。(知的財産高等裁判所などもありますが)

この様にご説明すると、「そんなに種類があったら迷ってしまう!」なんてお声も聞えて来そうですが、これらの裁判所は「訴える者が好みで選べる」という性質のものではありません。

 

三審制

まずご理解頂きたいのが、我が国では「三審制」という裁判の仕組みが採用されているという点です。

裁判を扱ったドラマや、ニュースの報道などを見ると、下された判決に納得が行かず、「控訴する」・「上告する」なんて言葉を耳に致しますが、これは「より上級の裁判所に判断を仰ぐ」という意味であり、裁判所には明確な序列が設けられています。

ご説明するまでもなく、最上級の裁判所が「最高裁判所」、そして次が「高等裁判所」、それ以下は「地方裁判所」、「簡易裁判所」という順番です。

そして三審制とは、どんな裁判であっても「この裁判所序列の中の3段階で結論を出さねばならない」という原則を指す言葉となります。

「簡易裁判所」は相手に対する請求額が140万円以下の事件しか扱うことが出来ませんから、140万円以下の事件なら『簡易裁判所スタート』となり、上訴するなら次は『地方裁判所』、そして最後が『高等裁判所』と、三段階でしか一つの事件を争うことが出来ないのです。

仮に200万円の損害賠償を求める裁判を起こしたとすれば、140万円超ということで『地方裁判所スタート』から始まり、『高等裁判所』を経緯して『最高裁判所』がゴールとなります。

なお、家庭裁判所は家事事件と言われる離婚問題や未成年の犯罪などを扱う裁判所となりますから、こうした家庭問題の裁判は『家庭裁判所→高等裁判所→最高裁判所』という三段階で解決が図られるのです。(人事訴訟の場合)

つまり、相当な重大事件でも最高裁判所や高等裁判所から審理がスタートすることはあり得ないことになります。(但し、選挙の結果に対する裁判などは例外)

また、今回のお話は民事訴訟を前提であり、刑事訴訟の場合は『簡易裁判所スタート』でも『高等裁判所→最高裁判所』というルートを辿ることになるのです。

因みに、最初に審理される裁判所を一審、次を二審、最後を三審と呼びますが、一審から二審へ訴え出ることを「控訴」、二審から三審を「上告」、そしてこの二つをまとめて「上訴」と呼びます。

更には、一審から二審へは「判決に納得出来ない」だけで控訴が可能ですが、二審から三審へは「判決に法的な問題」が存在しない限りは上告が不可能となりますので、ご注意下さい。

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それぞれの裁判所の特徴

先の項にて、各裁判所の特徴にサラリと触れてしまいましたが、ここでは更に詳しく各裁判所の特徴を見て行きましょう。

簡易裁判所

既に申し上げた140万円以下の訴訟や、審議する内容が単純な事件を管轄する裁判所となります。

また刑事事件も扱っていますが、殆どが罰金刑程度の軽微な事件が対象です。

一つの裁判に裁判官が一人という体制で審理が行われ、近年増えている少額訴訟などもこの裁判所の管轄となります。

全国に438ヶ所の存在していますが、審議する案件が多く慢性的な人手不足に苦しんでいる模様。

 

家庭裁判所

離婚問題や養子縁組、そして未成年による少年犯罪などを審議する裁判所となります。

基本的に、一都道府県に一か所となりますが、北海道は面積が広大なため4ヶ所が設置されているとのこと。

 

地方裁判所

簡易裁判所で扱えない事件を取り扱うというイメージがありますが、本来の第一審裁判所は地裁となります。(どちらかというと簡易裁判所が補助的な役割)

家庭裁判所と同じく、各都道府県に1ヵ所、北海道に4ヵ所の計50ヵ所となりますが、各地に支部を持っているため、これを含めれば250ヵ所設置されていることに。

先に紹介した簡易裁判所や家庭裁判所の裁判は非公開で行われますが、地方裁判所からは傍聴が可能となるのが特徴です。

また、一審として利用される法廷では裁判官は一人となりますが、二審の場合には三人の裁判官が事件を担当します。

 

高等裁判所

他の裁判所とは異なり、第一審裁判所となることが殆どない裁判所ですから、その数もグッと少なくなり、全国に8ヵ所しか存在しません。(東京都、大阪市、名古屋市、広島市、福岡市、仙台市、札幌市、高松市)

但し支部は6ヵ所存在し、本庁のサポートに当たっています。

そして、裁判には常に三人の裁判官が当たるルールとなっており、簡易裁判所を一審とする裁判や、家庭裁判所で扱われる人事訴訟以外の裁判に関しては、終局判決を言い渡すポジションです。

なお、冒頭でお話した知的財産高等裁判所は東京の特別支部という扱いになっており、知的財産などを巡る専門性の高い事件を担当する機関となっています。

 

最高裁判所

言わずと知れた「日本の司法機関の頂点」に位置する機関となります。

裁判官は15人在職していますが、その言葉通り非常に重要な裁判所となりますので、内閣により任命された者がその任に当たるのがルール。

また、国民には最高裁判所の裁判官を罷免する(クビにする)権利が与えられており、選挙の際などに不適当と思われる人物には投票用紙に「×」印を付けるという方式で、評価が行われます。

白紙で投票される方も多い様ですが、過去に下した判決などを参考に、しっかりと監視の目を光られましょう。

因みに、最高裁判所には3つの小法廷があり、それぞれ5人の裁判官が事件を担当します。

但し、重大な案件となれば15人が集結し、審議に当たる大法廷が開かれるのです。

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裁判所種類まとめ

さてここまで、裁判所の種類について解説して参りました。

こうした話題に興味の無い方には、初めて知ることも多かったかと思いますが、今のご時世、一体何時自分が被告として法廷に立つ日が来るか判りません。

日本の国に住む者として、司法制度に対して最低限の知識を持っておくことは、大変に重要なこととなるでしょう。

ではこれにて、「裁判所の種類と特徴について」の解説を終えさせて頂きたいと思います。

 

 

参考文献

藤田裕監修(2015)『図解で早わかり 最新版 訴訟のしくみ』三修社 256pp ISBN978-4-384-04643-4

 

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