時効とは

 

テレビのサスペンスドラマなどを見ていると、しばしば登場して来るワードが「時効」なるものです。

追い詰められた犯人が「後何日で時効だったのに・・・」なんて台詞は、誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

また、友達などと話をしている時にも、「あの件はもう時効だよね」なんて言い方をしますが、これがお金の貸し借りなどであった場合には、「いやいや、ちょっと待てよ!」なんて事態にもなりかねませんよね。

そこで本日は「時効とは?わかりやすく解説致します!」と題して、この時効なるワードの意味と、ケース毎の時効期間についてまとめてみたいと思います。

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時効って何だろう?

ではまず最初に、「そもそも時効ってなんだろう?」という点から解説を始めさせて頂きたいと思います。

時効という言葉の意味を一言で表現するならば「法律によって定められた期間を経過することによって、権利や法的な状況が変動する制度」ということが出来るでしょう。

この説明だけでは「何だそれ?」と思われる方も多いことと思いますが、実は時効には様々なタイプが存在しており、冒頭でお話した「犯した罪について裁くことが出来なくなる」という代表的なものから、

「手に入れた物が、法的にも自分のものになる」というパターン、そして「借りたお金を返す義務がなくなる」と言った権利関係の変動まで実に様々なのです。

そこで次項では、こうした時効の種類について解説してみたいと思います。

 

時効の種類

時効の種類をご説明する上で、まず前提となるのが「時効には刑法上のものと、民法上のものの2大区分が存在する」という点です。

よって以下では、この二つの区分を前提に解説を行って行きましょう。

民法上の時効

民法とはその名の通り、民間人同士の権利関係に関する取り決めを指す言葉となりますから、ここに定められた規定はお金の貸し借りなど、財産関係に絡むものがメインとなって来ます。

取得時効

取得時効は、土地や家といった不動産を一定期間専有した(住み続けた)者が、その権利を取得することが出来る制度を指す言葉です。

現在社会ではあまり例を見ませんが、戦後の混乱期などには管理者の不在の土地に家を建て、長年専有することで所有権を取得する者も少なくありませんでした。

但し、単に特定の土地や建物を占有しているだけでは取得時効は成立せず、「他人の物件を、公然且つ平穏に、一定期間、所有の意思を持って占有すること」が要件とされます。

なお期間については、他人のものとは知らずに、自分に落ち度もない場合(善意・無過失)で10年間、他人のものであるのを知っていたり、占有者に落ち度がある場合(悪意・有過失)で20年間というのがルールです。

但し、真の所有者から「この土地は自分の物だ!」という訴訟を起こされたり、物件を返せという催告がなされた時には、時効のカウントダウンは中断されることになります。

 

消滅時効

さて、続いてご紹介するのが消滅時効なるものです。

その名の通り一定の期間が経過すると、本来はあるはずの権利が消滅する制度であり、借金などが時間の経過により「返済義務なし」となるのは、この時効の効力ということになります。

なお民法上の原則は債権(借金など)が10年で時効を迎え、それ以外の財産権(特許権など)は20年が時効の期限とされていますが、

より円滑な権利関係の整理を目的に多数の特例(短期消滅時効)が定められていますので、この点には注意が必要です。

 

刑法上の時効

民法上の時効に続いては、刑法上の時効について解説致しましょう。

実は刑法の事項にも2つの種類が存在します。

刑の時効

裁判で刑罰が確定すれば、被告人は刑の執行を待つことになりますが、何時まで経っても執行されない場合には、刑の時効が成立することになるのです。

時効までの期間については、無期懲役で30年、10年未満の懲役・禁固で10年、罰金刑で3年など細かな規定がなされています。

 

公訴時効

そして、サスペンスドラマや映画でお馴染みなのが、こちらの公訴時効となります。

罪を犯した者は、検察より公訴されることで裁判に掛けられ、罰を受けることになりますが、この公訴出来る権限に時効が存在するという訳です。

よって、犯人が見付からなければ公訴時効に向けて時が進んで行くことになり、「時効まで後何日」なんて状態が発生します。

なお、近年の刑事訴訟法の改正により、殺人などで死刑に相当する罪を犯した者に対しては、「公訴時効なし」との新たなルールが定められました。

但し、表記以外の傷害罪、危険運転致死傷罪などには細かに時効期限が定められておりますので、詳細は次項にて解説させて頂きます。

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時効期間一覧

ここまで様々な時効の種類について見て参りましたが、皆様が最も気になるのは民事上の「消滅時効」と刑事上の「公訴時効」なのではないかと思います。

そこで以下では、ケース毎の時効期限をご紹介して行きましょう。

主な消滅時効の期限

「消滅時効」の解説でも触れた様に、民法における消滅時効の期限は債権が10年、それ以外の財産権が20年と定められいますが、これに優先する短期消滅時効というものが存在します。

この短期消滅時効では、債権の種類によって細かな時効期限が決められていますので、その代表的なものをご紹介して行きましょう。

金融機関からの借り入れ

銀行からお金を借りるということは、借主に対して銀行が債権を持つことになりますから、「時効は当然10年なのでは?」と思われがちですが、実は商法の規定により5年で消滅時効が成立することになります。

また、サラ金などの消費者金融もこの商法上の規定が適応されることになりますから、同じく5年で時効となるのです。

但し、個人から借入をしたケースでは商法は適応されず、民法が定める10年が時効期限となるでしょう。

因みに信用金庫から借入については、信用金庫が営利目的の組織ではないことから、個人と同じく10年の時効となります。

 

5年で成立する消滅時効

消滅時効が5年と定められいるのは、家賃や地代、分譲マンションの管理費や修繕費などの「定期給付債権」や、退職手当を受け取る権利などが主なものとなります。

 

3年で成立する消滅時効

3年で時効となる主な権利は、医療費の請求、為替手形や約束手形の請求権、工事費用の請求などとなります。

 

2年で成立する消滅時効

学費や塾の月謝、生産者や商人が受け取る代価などは2年で時効が成立することになります。

 

1年で成立する消滅時効

宅急便などの送料、ホテルや旅館の宿泊代、居酒屋など飲食店でのツケ、レンタルDVDなどの料金に関する請求権は1年で時効を迎えます。

 

主な公訴時効の期限

では続いて、刑事事件を起こした場合の時効期限を見て行きましょう。

時効なし

殺人罪、強盗殺人罪など、死者が出る事件を起こしており、且つ、その罪が死刑に該当するケースでは、公訴時効の適応はありません。

 

時効30年

「被害者が死亡」している上、その罪が「無期懲役や無期の禁固刑に相当」する場合の時効は30年となります。

 

時効25年

「被害者は生きている」が、「死刑に相当」する場合の時効は25年です。

 

時効20年

「被害者が死亡」しており、「懲役・禁固20年に相当」する罪を犯した場合は時効20年となります。

 

時効15年

「被害者は生きている」が、「無期懲役や無期の禁固刑に相当」する場合の時効は15年となります。

 

時効10年

「被害者が死亡」しているが、「懲役・禁固19年以下にに相当」する罪を犯した場合は時効10年となります。

「被害者は生きている」が、「懲役・禁固15年以上に相当」する場合も同様です。

 

時効7年

ここからは、被害者が死亡する可能性のある事件は殆どなくなります。

窃盗罪、詐欺罪、恐喝罪など、「懲役・禁固15年未満に相当」する罪を犯した場合の時効は7年です。

 

時効5年

未成年者略取罪、収賄罪、脱税等、「懲役・禁固10年未満に相当」する犯罪を行った場合の時効は5年となります。

 

時効3年

脅迫罪、過失傷害罪、威力業務妨害罪、器物損壊罪などで「懲役・禁固5年未満、または罰金刑に相当」する場合の時効は3年です。

 

時効1年

軽犯罪法違反など軽微な犯罪(拘留または科料)にあたる場合は1年で時効を迎えます。

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時効とは?まとめ

さてここまで、「時効って何だろう?」というテーマにて解説を行って参りました。

一言で時効といっても様々なパターンが存在し、その内容もバラエティーに富んだものとなっていることをご理解頂けたことと思います。

刑事上の時効については、自分が直接係ることはまず無いとは思いますが、民事上の消滅時効については、商売などをしているとかなり重要な知識となるはずですから、この機会に是非とも頭の片隅にでもインプットしておいて頂ければ幸いです。

ではこれにて、「時効とは?わかりやすく解説致します!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

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