暴走族

 

深夜の大通りを爆音と共に駆け抜けて行く迷惑な集団と言えば「暴走族」ですよね。

ひと昔前には、暴走族を題材にしたドラマが放映され、若者たちがそのファッションをこぞって真似するなど、社会現象とも呼べるブーム(?)を巻き起こした彼らですが、現在ではその姿を見る機会も減ったように思えます。

しかしながら実際に警察の統計などを見てみると、一時期程ではないにしても、暴走族は確実に現在でも存在し続けており、その騒音に悩まされている方も「決して少なくない」というのです。

そこで本日は「暴走族の法律問答をお届け!」と題して、暴走族を巡る法律問題や、法的な対処方法などについて解説を加えてみたいと思います。

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暴走族とは?

ではまず最初に「そもそも暴走族とは何なのか?」という点から解説を加えて参りましょう。

我が国に暴走族と呼ばれる者たちが登場し始めたのは、昭和30年頃からと言われておりますから、その歴史は既に60年以上にも及ぶものとなります。

但し黎明期の暴走族は、カミナリ族などと呼ばれる連中であり、集団で暴走行為を行うというよりは、「少人数のグループでバイクのスピード感を楽しんでいる」という雰囲気の強い集団でした。

しかしながら昭和40年代に入ると暴走族の組織化が始まり、敵対するグループとの抗争や、組織の活動資金を得るための違法薬物の売買、一般人への暴行や恐喝など、その行為がエスカレートし始めます。

また、彼らの背後に暴力団組織が入り込み、暴走族を組員養成の場とするなど、暴力団の下部組織としての側面を見せ始めたのも、この時代からであったと言われています。

こうした状況から、当時は警察も暴走族対策に躍起になっていましたが、道路交通法の規制が強化され、一時期彼らの活動はかなり下火になっていました。

ところが近年になり、徐々に復活の傾向が見られ始め、時折その姿を見掛ける様になっているのです。

なお、時代の流れと共に暴走族の形態にも変化が見られるようで、以前は圧倒的に未成年者が多かったのに対して、現在では20代、時に中年層の暴走族も見られるとのこと。

更には以前の様な集団型は数を減らし、一台から数台のグループが増えて来ている様です。

暴走族はどんな罪に問われる?

前項には、暴走族の歴史や現状についてはご理解頂けたことと思いますが、果たして彼らの行為はどんな法律に違反していることになるのでしょう。

本項では法律的な面から暴走族の行為を見て行きたいと思います。

各種道路交通法の違反

「暴走」という名を冠する通り、彼らは交通ルールなど全く無視です。

しかしながら、交通ルールの無視は行政処分の対象となるばかりか、場合によっては刑事罰の対象ともなる重大な犯罪に他なりません。

そこで暴走族が行いがちな違反行為と刑事罰を以下にご紹介致します。

  • 信号無視  ・・・3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金
  • 一時停止違反・・・3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金
  • 無免許運転 ・・・3年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • スピード違反・・・6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金(一般道30~39㌔以下)

なお、交通違反によって行政処分ではなく刑事罰が与えられるケースに関しては、過去記事「交通違反の点数や罰金の法律問答!」をご参照下さい。

共同危険行為等禁止違反

こちらも道路交通法上の違反の一種ではありますが、暴走族ならではの犯罪となりますので、前項とは別に解説致します。

「暴走族とは?」の項にて、道路交通法の改正によって一時期暴走族が激減したとお話し致しましたが、その引き金となったのが「共同危険行為等禁止違反」の新設でした。

この罪で有罪となった場合には、行政処分で25点、刑事罰で2年以下の懲役または50万円以下の罰金という重いペナルティーを科せられることとなります。

しかしこの犯罪、2台以上でなければ成立しないルールとなっていますので、近年の暴走族が単独であったり、少人数であるのは共同危険行為等禁止違反の罪を逃れるためであると考えられているのです。

暴走族追放条例

さてここまで、暴走行為に対して道路交通法上で問うことが出来る罪について解説をして参りましたが、彼らを縛るルールはまだまだ存在します。

そして、その最たるものとなるのが、各行政が独自に定める暴走族追放条例と呼ばれるものです。

これらの条例では法律上取り締まりの困難な、エンジンの空ぶかしや、暴走族に対して声援を送る行為、旗を振り回す行為などを禁じている上、違反者にはしっかりとペナルティーまで定めています。

なお、こんなお話をすると「条例では対した罰則は与えられないのでは?」と思われてしまいそうですが、茨木県では10万円以下の罰金となりますし、千葉県では罰金に加えて拘留も行えるルールになっていますから、これはなかなかに厳しい罰則と言えるのではないでしょうか。

但し、条例である以上、地域によって禁止事項も罰則も異なるものとなっていますし、暴走族追放条例自体を定めていない行政も少なくありませんから、こうした条例が更に全国に浸透していくことを願うばかりです。

器物損壊罪・建造物損壊罪

暴走族と言えばスプレーで建物や交通標識、ガードレールに落書きをしているのを見掛けますが、こうした行為は器物損壊罪及び建造物損壊罪にて罰せられる可能性があります。

器物損壊罪であれば、3年以下の懲役または30万円以下の罰金(但し親告罪)となりますが、これが建物等に対しての建造物等損壊罪となると5年以下の懲役(非親告罪)にレベルアップするのです。

 

この様に暴走行為は法律的に実に様々な罪に問われる可能があるものとなります。

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暴走族から被害を受けたら?

では実際に暴走族の騒音に悩まされている方や、偶然彼らに遭遇して被害を受けた場合に、どんな対抗処置が取れるのでしょう。

まず第一に行うべきは、警察への通報となります。

こんなお話をすると、「警察は暴走族の取り締まりに関して、積極的に動いてくれのでは・・・」と思われる方も多いかもしれませんが、決してそんなことはありません。

確かにパトカーの横を暴走族が通り過ぎて行っても、追跡せずにスルーする姿を時折目に致しますが、あれは黙認している訳ではありません。

暴走族を無理に追跡すると、別の交通事故を招く可能性も高いため、現在では暴走の様子を録画し、後日捜査するのが一般的な警察の対処となっているのです。

よって暴走行為を目撃したり、騒音に迷惑している場合には、まず通報することが重要でしょう。

また、自宅の周辺を徘徊している様な場合には動画を撮影して、警察に情報提供するのもお勧めです。

なお騒音により健康を害した場合には、暴走族に対して損害賠償の請求も可能となりますが、相手の氏素性が判らなければアクションの起こしようもありませんので、

まずは刑事上の罪(交通違反などで)で警察に取り締まってもらってから、訴訟を起こすのがベストでしょう。

因みに暴走族が警察に検挙された場合には、前項で解説した犯罪以外にも

  • 車両の整備不良 ・・・運転禁止命令
  • 車両の不正改造 ・・・6ヶ月以下の懲役または30万円以下
  • 窃盗罪(盗難車の場合)・・・10年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 銃刀法違反(刃物所持)・・・2年以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 脅迫罪(脅しをかけた場合)・・・2年以下の懲役または30万円以下の罰金

など様々な罪に問われる可能性が高いですから、反省を促すという意味では、警察に取り締まってもらうのが一番効果な対策となるはずです。

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暴走族の法律問答まとめ

さてここまで、暴走族を巡る法律問題について解説を行って参りました。

「暴走族なんて過去のもの」というイメージの方も多かったことと思いますが、彼らは今の世の中にもしっかりと生き残っている様です。

また、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(略称・暴力団対策法)」の改正により、経済活動が行い辛くなった暴力団が、暴走族を利用して収益を上げているケースも少なくないといいますから、

運転中に彼らを見掛けた場合などは動画を撮影したり、ドライブレコーダーの映像を警察に提供するなどして、暴走族の排除に協力していくことも重要でしょう。

暴走族を排除することは、良好な住環境を取り戻すだけに留まらず、社会全体に対する貢献となることを是非覚えておいて頂ければ幸いです。

ではこれにて、「暴走族の法律問答をお届け!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

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