駐車違反

 

自動車を運転している際に、「ついついやってしまいがち」なのが路上駐車という交通ルール違反ですよね。

「ちょっと買い物をするだけだから・・・」「タイムパーキングが満車で仕方がなく・・・」など違反をしてしまう理由は様々でしょうが、取り締まりを受けた以上、それなりのペナルティーは覚悟しなければならないでしょう。

また路上に自動車を駐車する行為は、状況次第で「想定外の災難を招く」こともありますので、決して軽い気持ちで行ってはならないものなのです。

そこで本日は「駐車違反の法律知識をお届けします!駐車違反の法律知識をお届けします!」と題して、路上駐車に関する様々な法律知識をお届けしたいと思います。駐車違反の法律知識をお届けします!

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駐車違反とは?

ではまず、「そもそも駐車違反とは何なのか?」という点から解説を始めさせて頂きたいと思います。

駐車違反を取り締まる法的な根拠となっているのは道路交通法であり、違反をした者には15万円以下、または10万円以下の罰金が課せられるルールです。

但し、交通違反については交通反則通告制度が適応されますから、違反を素直に受け入れて、反則金を支払えば刑事罰を受けることはなく、行政罰だけで済むことになっています。

なお、取り締まりに納得が行かず、反則切符への署名を拒否したり、反則金の支払いが滞れば、検察に送検された上で起訴され(不起訴の場合もあります)、裁判で有罪となれば罰金という前科を背負うことになるでしょう。

※(詳しくは別記事「交通違反の点数や罰金の法律問答!」をご参照下さい)

駐車違反の種類について

因みに一言で駐車違反といっても、実際にはいくつかの分類があり、直ぐに車を移動できる状態(運転席に座っている等)での「駐停車違反」と、車を移動させるのに時間を要する場合(コンビニに行っている等)の「放置駐車違反」の2種にまずは大別されます。

※取り締まりを受ける件数としては、圧倒的に放置駐車違反が多い。

そして更に、自動車を止めていた場所が「駐車禁止であるのか」「駐停車禁止であるか」によっても罰則の内容が変わって来ますので、駐車違反には4つの種類があると言えるでしょう。

そこで以下に、この4種の違反の罰則について一覧を示しておきます。

  • 駐車違反(駐車禁止エリア)   ・・・点数1点
  • 駐車違反(駐停車禁止エリア)  ・・・点数2点
  • 放置駐車違反(駐車禁止エリア) ・・・点数2点
  • 放置駐車違反(駐停車禁止エリア)・・・点数3点

なお、刑事罰については駐車禁止で10万以下の罰金、放置駐車違反で15万円以下の罰金となっています。

2006年の道路交通法改正について

さて、今ではこうした定義付けがなされている駐車違反ですが、現行のルールがスタートしたのは2006年となりますから、それ程昔のことではありません。

実は2006年の道路交通法改正以前は、例え駐車違反をしている車両があっても、タイヤにチョークでラインを引き、一定時間移動していないことが確認するまでは、取り締まりを行うことが出来なかったのです。

しかしながら、このルールでは違反車両が増え続けるばかりですから、「駐停車違反」や「放置駐車違反」といった概念を法律に盛り込み、即時取り締まりを可能とすることとなりました。

また、この時の改正で新たに盛り込まれたのが駐車監視員制度となります。

今ではすっかりお馴染みになっているこの制度ですが、警察が民間業者に駐車違反の取り締まりを委託するこの新システムは、当時非常に斬新なものとして大いに世論を賑わせることとなりました。

なお、駐車監視員には公務員に準ずる地位(みなし公務員)の地位が与えられていますから、取り締まりの妨害などを行うと、公務執行妨害罪が適応されることになります。

因みに駐車監視員は警官ではありませんので、駐車違反車両を発見しても違反切符を切ることは出来ず、あくまで警察に報告するのが業務です。

但し、彼らが持ち歩く端末から駐車違反の報告がなされれば、この時点で取り締まりが行われたのと同じ効力を発しますから、駐車禁止のステッカーの貼り付けを拒んでも、駐車違反の罪を逃れることは出来ません。

駐車禁止エリアはどこ?

この様に2006年の改正以来、一層取り締まりの厳しくなった駐車違反ですが、一体どんな場所に自動車を停めているとお咎めを受けることになるのでしょう。

もちろん、判りやすく「駐車禁止」の標識が出ていれば、気が付かない人は居ないでしょうが、中には知らずに駐車禁止エリアに車を停めてしまう方も多いようです。

そこで以下に、見落としがちな駐車禁止エリアの例を挙げてみましょう。

  • 交差点・横断歩道・曲がり角の前後5m以内
  • 道路工事区域・消火栓の半径5m以内
  • 踏切・安全地帯・バス停の前後10m以内
  • 自動車用出入口から3m以内
  • 火災報知器から1m以内

この様に普段は気が付いていない駐車禁止エリアが、実は多数存在しているのです。

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私有地でも注意が必要!

ここまでのお話で、駐車違反の定義や罰則についての概要はおおよそご理解頂けたことと思います。

ただ、ここでお気を付け頂きたいのが、例え私有地の中であっても、駐車違反のペナルティーを受ける可能性があるという点です。

住宅街を歩いていると、分譲地などに作られてた私道に堂々と車を停めている方を多く見掛けますが、実はこうした行為も取り締まりの対象です。

こんなお話をすると「私道で駐車違反なんて聞いたことがない!」とお叱りを受けてしまいそうですが、道路交通法上の駐車違反ではないものの、「自動車の保管場所の確保等に関する法律(通称・車庫法)」という法律で取り締まりを受ける可能性があるのです。

車庫法は、その名の通り自動車の保管場所について様々な規制を行う法律であり、自動車を購入した際に必要になる車庫証明なども、この法律を根拠とした制度となっています。

そしてこの車庫法の中には、「道路使用」「長時間駐車」という二つの罪が定義されており、道路使用は「道路を駐車場代わりに使用した場合の罪」となり、点数3点、3月以下の懲役または20万円以下の罰金を課せられることになるのです。

一方、長時間駐車は「駐車場以外の場所に長時間(日中12時間以上、夜間8時間以上)、自動車を停めた場合の罪」となり、20万円以下の罰金というペナルティーを課せられることになります。

なお、車庫法においては、その適応範囲が公道に限られてはいませんので、私道や空き地なども取り締まりの対象エリアとなっているのです。

また車庫法が恐ろしいのは、道路交通法とは異なり、交通反則通告制度が適応されない点であり、検挙された者は例外無く検察へと送致されることになるでしょう。(行政罰の反則金ではなく、刑法で罰せられることになる)

因みに道路交通法は原則公道でしか適応されませんが、私有地であっても不特定多数が通行する場所(スーパーの駐車場等)については、取り締まりの対象となることがあります。

もっとも、私有地内で駐車禁止エリアはまず存在しないでしょうが、飲酒運転や無免許運転は公道と同様の罪で裁かれることになりますので、ご注意下さい。

反則金だけでは済まない違反駐車のリスク!

続いてご紹介するのが、駐車違反は反則金や罰金等のペナルティー以外にも、様々なトラブルを巻き起こす可能性があるというお話です。

以前に書いた「交通事故の共同不法行為について解説!」という記事の中でも解説を行っておりますが、駐車禁止場所に自動車を停めていた場合には、自分が直接関係しない事故の責任を負わされる場合があります。

仮に貴方が駐車禁止エリアに自動車を停めて、スマホを操作していたとしましょう。

そして後ろから来た車が、貴方の車を避けるために反対車線にはみ出した際、対向車と事故を起こしてしまったとします。

通常、こうしたケースでは「事故を起こした当事者同士で問題の解決に当たるべき」と思われるでしょうが、実は法律上、駐車違反をしていた貴方にも「責任がある」との判断がされるのです。

これは加害者である後続車が反対車線に飛び出した背景に、「貴方の駐車禁止という不法行為があった」との考えから生まれる解釈であり、法律的には「はみ出した車と違法駐車車両の共同不法行為が成立した状態」となってしまいます。

もちろん被害者(対向車線の自動車)は、直接の加害者である後続車に損害の賠償を求めることになりますが、万が一加害者が無保険だった場合などには、駐車違反をしたあなたに賠償請求を行えるのです。

レッカー移動について

駐車違反で取り締まりを受けた際には、時として「レッカーされてしまう」という憂き目に遭うことありますよね。

反則金を支払うだけでも、お財布にはかなりのダメージを負うのに、それに加えてレッカー台と車両の保管料まで請求されるのは実に納得が行きません。

実はこうした想いから、これまで何度も「レッカー移動は違法だ!」という裁判(国家賠償請求)が起こされて来ました。

しかしながらレッカー移動は、道路交通法にしっかりと規定された処置となりますから、こうした訴えが認められたことは殆どないのが実情です。

但し、道路交通法には「駐車車両が他の交通の妨げになっており、止む無き場合のみレッカー移動が出来る」としていますから、警察もそうそう無暗にはこうした処置は行わないのが通常でしょう。

そして逆を返せば、「万が一訴えられて負ける可能性がある状況では、絶対にレッカー移動はしない」と考えているでしょうから、例え裁判を起こしても簡単には勝訴出来ないのです。

駐車中の車内で酒を飲むと?

あまり頻繁に起こることではないかもしれませんが、社会生活を営んでいると「自動車で出掛けた先でお酒を飲むこと」も偶にはあるものです。

飲まずに帰るつもりが、ついつい欲望に負けてお酒を飲んでしまい、朝まで車内で眠ってしまったり、大型連休の帰省ラッシュに疲れ、車内で晩酌をして一夜を明かすなんてシュチエーションも時にはありますよね。

そしてこんな時にフッと頭を過るのが、「運転こそしていないが、酔って車内にいることで飲酒運転を扱いを受けないのか?」という疑問なのではないでしょうか。

まず法律的には、『酔っぱらった状態で運転をすること』が飲酒運転や酒気帯び運転の定義となりますから、自動車を動かさなければ、罪に問われることはありません。

但し、酔っぱらって自動車の車内にいる人間を見れば、警察も見逃す訳にはいかないでしょうから、職務質問などを受けるのは不可避なはずです。

よって、もしどうしても酔っぱらった状態で車中泊をしなければならないのであれば、エンジンを停止して、バックシートなどで眠るのが得策でしょう。

なお、こんなお話をすると「コインパーキングやサービスエリアの駐車場なら、問題がないのでは?」とお思いになられるかもしれませんが、「私有地でも注意が必要!」の項でもお話した通り、

不特定多数が出入りするエリアは道路交通法の適応を受けることになりますから、やはりエンジンを切って、運転席以外で眠るのがベストです。

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駐車違反の法律知識まとめ

さてここまで、駐車違反というテーマでお話をして参りました。

自動車を運転する方にとっては非常に身近なルール違反ではありますが、掘り下げてみると意外に知らないことも多かったのではないでしょうか。

また違反切符を切られてた際などには「なんてツイてないんだ・・・」という気持ちになるものですが、解説の中でも述べた通り、

駐車車両が重大な交通事故の原因となったり、消火活動の妨げになることもありますから、出来る限り路上駐車は控えるべきかと思います。

ではこれにて、「駐車違反の法律知識をお届けします!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

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