交通事故の賠償金

 

人々の生活を平和な日常から、奈落の底に突き落とすのが 交通事故です。

突然電話が鳴り、自分の家族が「事故に巻き込まれた」なんて連絡を受けたら、頭の中が真っ白になってしまいますよね。

もちろん、それ程の怪我を負っておらず、直ぐに日常生活に戻れるのであれば、それ程問題は無いかもしれませんが、時には一生背負って行かなければならない障害を負わされることもありますし、最悪の場合には亡くなってしまうこともあるでしょう。

当然、日本は法治国家となっていますので、加害者は被害者に対して損害賠償の義務を負うことになりますし、その金額についても一定の基準を定めています。(詳細は過去記事「交通事故の損害賠償について解説致します!」をご参照下さい)

しかし、事故の当事者である被害者の意識が戻らない場合や、亡くなられてしまった場合には、悲しみのどん底にある周囲の者が、加害者との賠償金交渉を行わなければならないのが現実です。

そこで本日は、「交通事故の賠償金は誰が請求できる?」と題して、何らかの事情で被害者が自分で賠償金の請求が行えない際、一体誰がその代わりとなるのか?という点について解説してみたいと思います。

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死亡事故の場合、誰が賠償金を請求出来るのか?

当然、家人が事故に遭い、亡くなられた場合などは「その家族が損害賠償の請求を行わなければならない」のは誰にでも判ることかと思います。

ただ、家族といってもその定義は人それぞれですから、被害者の旦那さんや奥さん、子供たちは当たり前としても、「父や母、兄弟なども賠償金請求が行えるのか?」という点については悩ましいところですよね。

そして、この疑問に対する答えを単刀直入に申し上げれば、「相続人ならば請求できる」ということになります。

例えば、結婚して子供がいる旦那さんが事故にあった場合には、その妻、そして子供たちに損害賠償を請求する権利が与えられるでしょう。

また被害者が未婚であり、父母が健在であれば、その両親が相続人となります。(兄弟が居ても相続人はなれません)

そして両親が亡くなっており、被害者が未婚であれば、兄弟が相続人です。

 

相続権がなくても賠償金を受け取れる場合もある!

ここまでのお話で、被害者が亡くなった場合には、加害者に対してその相続人が損害賠償を請求できるとお話して参りました。

ただ、このお話を聞くと「大好きな息子が亡くなったのに、妻や子が居たら親は一切賠償金を受け取れないの?」とお思いになられる方もおられるはず。

この疑問に対する答えは、「認められることもある」というのが正解です。

過去の判例を見れば、相続人ではない両親などにも一定の慰謝料を認めていますから、この点はご安心頂ければと思います。

また、裁判所は亡くなった被害者に内縁の関係の夫や妻が居た場合でさえも、損害賠償の請求権を認めているのです。

但し、ここで認められる内縁関係は「夫婦同然で、籍だけを入れていない関係」に限られていますので、単なる愛人や彼氏・彼女という間柄で、認めらるケースはまず無いでしょう。

因みに内縁関係でも、生計が同一と見なされる場合には、慰謝料のみならず「生きていたら貰えたであろう収入(逸失利益)」についても、支払いを命じています。

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被害者が賠償金の交渉を行えない場合

前項では被害者が亡くなってしまい、家族などが損害賠償の請求を行う場合についてお話して参りましたが、ここでは事故により意識不明、重度の障害で加害者との交渉に当たれない場合について解説してみたいと思います。

当然ながら加害者がご存命の場合には、賠償金の受取人はあくまでも被害者本人です。

よって、賠償金の交渉を代わりに行うものはあくまでも代理人となりますから、法的には誰がこれを引き受けても問題はありません。

但し、相手方との話し合いには、交通事故などに対して「それなりの知識があるもの」でなければ、不利な条件で和解してしまうケースも考えられますから、この点は充分に注意が必要でしょう。

親族の中には、「俺に任せておけ!」なんていう出たがりの方もいらっしゃるでしょうが、賠償金の交渉では時に「被害者の法律上の行為」を代行して行わなければならないケースもあり、資格の無い者がこれを行うと法で罰せらる可能性もありますし、交渉中にエキサイトし過ぎて脅迫まがいな発言をすると反対に訴えられる可能性もあるでしょうから、素人に任せるのはお勧めん出来ません。

最も安心出来るのは、弁護士を代理人として立てることですが、事前に報酬などをしっかり確認しなかったばかりに、受け取る賠償金が目減りしてしまったという話も耳に致しますので、この点だけはしっかりと確認しておきましょう。

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事故の賠償金が請求できる人まとめ

さて、ここまで交通事故により被害者が亡くなってしまったり、意識が戻らなかったりした場合の損害賠償金請求についてお話して参りました。

「自分の大切な人の身の上に、大変な事態が起こっているのにお金の話など二の次なのでは?」というお声も聞えて来そうですが、亡くなられた方は残された方の幸せな生活を何よりも願っているはずですし、重い障害が発生している場合には、賠償金により更に高度な治療を受けられる可能性だってありますから、お金の問題も決して度外視することは出来ないはずです。

また、不幸な事件に巻き込まれた方には、友人・知人は元より、親族の中からでさえ、「自分も利益に得たい」と願うものが現れるものですから、相談する相手もしっかりと精査する必要があるでしょう。

こうした緊急事態に慌てないためにも、普段から人脈を広げるなどの努力を続け、いざと言う時に頼れる弁護士を見付けておくのが望ましいのではないかと思います。

ではこれにて、「交通事故の賠償金は誰が請求できる?」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

 

参考文献

(有)生活と法律研究所編(2015)『交通事故の法律知識』自由国民社 368pp ISBN978-4-426-11950-8

 

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