繁華街や駅前にて、しばしば目にするのがパチンコやパチスロのお店です。
そして一歩店内に足を踏み込めば、そこは遊技機の光と音、そして真剣に球の行方を見つめる人々の熱気に支配された一種独特の空間が展開されています。
もちろん「パチンコなんぞ興味がない」という方にとっては、喧しいだけの不愉快な場所にしか感じられないでしょうが、パチンコ好きな方にとっては「抑えられない興奮」を感じる空間となっているようです。
ただ、ここでフッと涌いて来るのが「ところでパチンコって賭博ではないの?」という疑問や、「報道番組で近年取り沙汰されている法規制って何なんだろう?」なんて想いなのではないでしょうか。
そこで本日は「パチンコ規制や法律について解説致します!」と題して、庶民の娯楽パチンコについてお話してみたいと思います。
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パチンコは何故ギャンブルではないのか?
ではまず、「パチンコはギャンブルではないの?」という疑問について解説を加えて参りましょう。
過去記事「賭け事と法律について考えてみます!」の中でもお話し致しましたが、我が国の刑法ではギャンブルは犯罪(賭博罪)と定義されています。
また、法律がいうギャンブルとは『当事者双方が偶然によって勝敗を争い、財産(現金・有価証券等)のやり取りをすること』となりますから、テレビ中継が行われている競馬や、宝くじだって、どう考えても違法という気がしてきますよね。
しなしながら、物事には必ず例外があるもので、ギャンブルに関しても「他の法律で認められたものであれば、問題はない」とされているのです。
確かに競馬であれば「競馬法」、宝くじであれば「宝くじ法」など、公に認められているギャンブルには、しっかりと根拠となる法律が存在しています。
そしてパチンコが合法とされている根拠となっているのが、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風適法)」という法律です。
この風営法の第2条7項では、麻雀と並んでパチンコが「遊技」として位置付けられており、これを根拠に「パチンコは賭博ではなく遊技である」という建前になっているのです。
但し、仮に麻雀において金銭を賭けた場合には、しっかりと賭博罪が成立しますから、法律に書いてあるだけでは「ギャンブルではない!」と言い切るのに無理がありますよね。
そこでパチンコ店では、お客にハンドルを操作させることにより、ゲームに技術が必要であるという体裁をとる(刑法上、賭博は「偶然によって勝敗を争う」ことが定義のため、技術が必要ならギャンブルではないという理屈)などの努力を行っているのです。
また、パチンコで勝てば現金が得られるのは自明の事実ですが、あくまでお店がお客に提供するのは特殊景品(プラスチック製のケースに金のプレート等が入った物など)であり、
お店の近くにある交換所にこの景品を持ち込み、買取りをしてもらうことで現金が得られる「三店方式」というシステムにて合法化を図っています。
※交換所はパチンコ店とは無関係な古物商の店舗であり、あくまでも現金の提供はしていないというスタイル。
新たなパチンコ規制の概要
前項において、パチンコが合法と扱われる理屈や、賭博と見なされないためのパチンコ業界側の努力についてはご理解頂けたことと思いますが、この解説を読んでも「でも、実際はギャンブルでしょう?」とお考えの方が殆どなのではないでしょうか。
そして事実、パチンコにお金を注ぎ込み過ぎて人生を破綻させる者も少なくありませんから、政府としてもこれを甘んじて見過ごす訳には行きませんよね。
そこで時代ごとに行われて来たのが「パチンコに対する法規制」であり、これまでも「ギャンブル性の高過ぎる遊技機の使用禁止」や「当たりの確立に対する制限」等が加えらえて来ました。
ところが、風営法などの法改正により2018年2月からスタートした新たな規制は、これまでに類を見ない程に厳しい内容であり、これが世間に様々な物議を醸し出しているのです。
なお、具体的な今回の規制内容につきましては、
- 一回の当たりで得られる出玉の量を37.5%カット(2400発→1500発)
- 一回の当たりイベントの継続回数も37.5%カット(16回→10回)
- 4時間のプレイで得られる金額を5万円以下とする
- 大当たりの確率設定に6段階制を導入
- 店側による釘の調整の出来ない機種の導入
以上の内容が主なものとなります。
パチンコをされない方には、「一体どんな意味があるの?」と思われてしまいそうですが、簡単に申せば「大きく勝つことも、大きく負ける可能性も共に大幅減少した」ということになるでしょう。
つまり規制後のパチンコは、ギャンブル性(射幸性)が大幅に減少し、ゲームとしての面白みが増すことになるのです。
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規制の背景
そして、こうした規制の導入に対して「パチンコの楽しみが減ってしまう」「倒産するパチンコ店が続出する」などの反対意見が続出することとなったのです。
確かに規制の内容だけを見れば、「厳し過ぎるのでは・・・」という気もしなくもありませんが、パチンコという遊技が抱えている闇は非常に深いものがあります。
乳幼児を車内に放置したまま、両親がパチンコに興じ、悲惨な結末を迎えたというニュースは毎年の様に耳に致しますし、一部の売上金が某国のミサイル開発の財源となっているのも有名なお話です。
更には、パチンコからギャンブル依存症に陥る者の数も年々増え続けていますし、全国に存在するパチンコ店の数は10000店を超えると言われていますから、やはり今、手を打つしかないのが実情なのでしょう。
また冒頭でも解説した様に、「パチンコはあくまで遊技であり、ギャンブルではない」というのであれば、得られる商品の量が減ったとしても、何ら問題はないはずです。
それにも係わらず、この規制を受け入れることが出来ないというのは、そのこと自体が「パチンコが賭博である」という事実を認めることと同義になるでしょう。
これまで我が国では、グレイゾーンと呼ばれる違法と合法の狭間に存在する様々なビジネスがありましたが、今やこうした曖昧なものは徐々にその姿を消して行く時代となりました。
そして、こうしたグレイゾーンの最たる存在とも言えるのがパチンコという遊技なのですから、「不当な規制が加えられた」というよりは「逆らえない時代の流れがやって来た」と解釈するのが正しい様に思えます。
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パチンコ規制まとめ
さてここまで、今世間を騒がせているパチンコ規制についての解説を行って参りました。
一部の方々からは「パチンコ規制自体が、政府の公営カジノ立ち上げの余波によるものなのではないか」なんて意見も出ている様ですが、これは正直誤った解釈であると思います。
公営カジノの構想は日本人の入場に制限(入場料の徴収等)を設けたり、銀行ATMの設置を行わないなどの様々な配慮が検討されており、この点から見ても、あくまで外貨獲得の手段として立案されたものであることは明らかです。
また、「公営カジノが出来るとギャンブル依存症の患者が増えるのでは?」なんて憶測も飛び交っていますが、こちらも根拠の乏しい意見と言えるでしょう。
既に我が国には、競馬、競輪、競艇に、宝くじにスポーツくじなど、多くの公営ギャンブルが存在していますし、先程も申し上げた通り、全国に10000店以上のパチンコ店が営業している中で、僅か数か所の公営カジノが出来たからといって、ギャンブル依存症患者が急増する訳がありません。
これまで慣れ親しんで来たものが姿を消すというのは、何にしても寂しいものですし、パチンコに絡む利権の恩恵を受けている方々にとっては、非常に厳しい状況であるとは思いますが、
今回の規制は「パチンコを本来あるべき姿(賭博ではなく遊技)に戻すための第一歩」となる試みですから、より良い日本の未来を実現するためにも、是非とも受け入れて頂きたいものです。
ではこれにて、「パチンコ規制や法律について解説致します!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。
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