法廷を舞台としたドラマや映画で、必ず登場するのが「裁判官」という職業のお方です。
また、重大事件の裁判が行われた後には、ニュース番組などで法廷の椅子に座っている裁判官の姿を目にすることもあるでしょう。
しかしながら、現実に裁判官と会ったことがあるという方は数少ないはずですし、例え「会ったことがある」という方でも、彼らの日常業務などについては、想像も付かないという人が殆どのはずです。
そこで本日は「裁判官という仕事について解説致します!」と題して、知られざる裁判官という職業のあれこれについてお話してみたいと思います。
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裁判官ってどんな仕事
ではまず最初に、「裁判官はどんな職業なのか・・・」という点から解説を始めさせて頂きましょう。
こんなお話をすると「裁判で判決を下す仕事でしょ?」というツッコミを受けてしまいそうですが、確かに仕事内容としては「その通り!」ということになります。
民事訴訟にしろ、刑事訴訟にしろ、裁判が行われた際に各当事者(被告・原告等)の主張を聞き、証拠を調べを行った上で、判決を下すのが裁判官の役目です。
因みにこの裁判官という職業は、国家公務員の一員という扱いになっており、現在約3000名程が日々法廷で活躍しています。
なお国家公務員とは言っても、法務省などの行政に所属する立場ではなく、その人事権を握っているのは最高裁判所となりますから、裁判官となった者は最高裁の指示を受けて、全国に散らばる裁判所に勤務することになるのです。
よって裁判官は、内閣や各省庁からはもちろん、警察や検察からも完全に独立した立場となり、その活動を制約することが出来るのは法律と憲法のみという立場になります。(現実には最高裁判所の支配を受けてはいますが)
裁判所の組織について
さて、裁判官の概要についてご理解頂けたところで、彼らが所属する裁判所についても少々ご説明させて頂きましょう。
我が国における裁判所とは、三権分立(司法・立法・行政)において、司法を司る国家機関を指します。
よって、例え警察に逮捕されようが、検察官に起訴されようが、裁判所が罰を与えると判断しない限りは、何人たりとも法律による裁きを下すことは出来ないのです。
そして憲法においては、この裁判所の最高機関を最高裁判所と位置付けており、その下に高等裁判所・地方裁判所などが連なっています。(裁判所ごとの特性については過去記事「裁判所の種類と特徴について」をご参照下さい)
もちろん、裁判所の中には事務官なども勤務してはいますが、その中核をなすのは裁判官たちということになりますから、正に裁判官こそが日本の法律の番人となっているのです。
また裁判官となるためには、弁護士や検察官と同様に司法試験に合格し、その後、司法修習を終える必要があります。
司法修習とは法曹(弁護士・裁判官・検察官)となるための勉強の場となりますが、これを終了するためには二回試験という超難関の国家試験を突破する必要がありますし、裁判官となるためにこれらの試験における成績や人柄なども厳しくチェックされることになるでしょう。
なお、見事に裁判官として任官を果たしたとしても、直ぐに実務を行うことは出来ず、まずは「判事補」という見習いを10年程経験した上で、晴れて一人前の「判事」となることが出来るのです。(判事補の間は、単独で裁判を担当することはありません)
因みに裁判官全体を見渡してみれば、全国約3000人の内、約半数が判事、残り半数が判事補か簡裁判事であり、「高裁長官」などの役職や、組織の最高峰である「最高裁判事」「最高裁長官」となれる者は極僅かとなります。
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裁判官の日常業務
この様に我が国の司法を司る裁判官ですが、その日常業務は一体どの様なものなのでしょうか。
当然ながら裁判官の勤務先は配属先の裁判所となりますら、朝はまず裁判所に向けて通勤することになります。
そして少ない時で午前中1回、午後1回の裁判に臨むことになりますが、都心部の裁判所などの場合にはこの2倍、3倍の裁判を日々裁かなければなりません。
また裁判に臨むまでには、事前に提出された膨大な資料に目を通す必要がありますから、事務室に居る時も、のんびりする暇は無いはずです。
更にこれらの業務に加えて、弁護士や検察との打ち合わせに、下す判決の「判決文」の作成などもありますから、帰宅が深夜になることも珍しくありません。
なお、テレビで「警察24時」などの密着系番組を見ていると、犯人の逮捕に当たって警察官が「令状請求」を行っている姿を目に致しますが、その請求先も裁判官となっていますから、この当番に当たってしまうと昼間の業務に加えて夜間も仕事をさせられることとなるのです。
給料や転勤について
裁判官の日常業務が如何にハードなものであるかについては、前項でご理解頂けたことと思いますが、ここで気になるのが「一体どれくらい給料を貰えるの?」という点かと思います。
裁判官は特別職ではありますが、国家公務員ですからその給与の情報も公開されており、初任給(判事補)は月額20万円強という金額になります。
そして10年間の勤務を経て判事となった際には50万円強、その後も役職に就くことがなければ120万円程の月収がMAXであるとのこと。
なお、高裁の長官などになれれば130万円~150万円の月収が見込め、最高裁判所の長官ともなれば200万円の大台に達することになります。
こんなお話をすると「なかなかの高給取りなのだな・・・」なんて思われる方も多いでしょうが、どんなに残業しても手当は貰えないルールになっていますから、激務の対価としては少々割に合わないというのが本音のようです。
因みに勤務先に関しては、長年同じ裁判所に勤務していると、地元権力との密着が起こる可能性があるとの理由から、数年単位で転勤するのが掟となっています。
そして裁判所は全国の至るところに存在していますから、東京から沖縄、九州から北海道なんて異動パターンもある様です。
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裁判官まとめ
さてここまで、知られざる裁判官という職業について解説を行って参りました。
「日常業務」の項では、裁判官は多忙を極めるとのご説明を行いましたが、その原因は圧倒的な人員の少なさにあると言われています。
確かに近年は、毎日の様に事件が発生していますし、報道されないレベルの事件や民事訴訟を加えれば、その数は正に膨大なものとなるはずです。
一説には、現在の日本で効率的に裁判を行うためには、現在の3倍の人数の裁判官が必要とも言われていますから、激務の中、正義のために汗を流しておられる裁判官の方がには頭が下がるばかりでしょう。
また、あまりに忙し過ぎれば、どうしても仕事のクオリティーにも問題が生じるものですから、我が国の司法システムを維持するためにも、人手不足に対する対策が必要なはずです。
なお判決の質という意味では、人事権を最高裁判所が全て握っている点も問題視されています。
法律と憲法以外の制約を受けないはずの裁判官なのに、最高裁判所に逆らう様な判決を下すと出世に差し障るのでは、公正な裁判はなかなか難しいですよね。
因みに裁判官の罷免については、最高裁であれば国民審査(選挙の際に○×を付ける投票)や、他の裁判官であれば国会議員による弾劾にて行われるルールですが、
戦後、国民審査で罷免された裁判官は誰一人居ないことなどを考えれば、私たち国民もより注意深く裁判官の判決に目を通して行くことが必要なのではないでしょうか。
ではこれにて「裁判官という仕事について解説致します!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。
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