近年、メディアの報道を大いに賑わせているのがスポーツ業界などで行われる告発状の提出です。

某大相撲の親方をはじめ、レスリング界のパワハラ騒動など、何かトラブルが生じると「●●から告発状の提出がなされました・・・」なんて情報が耳に入って来ますよね。

そして、告発状の提出先とされるのが内閣府という組織なのですが、こんなお話を聞くと「どうして内閣府に提出するの?」なんて疑問が涌いて来るものです。

そこで本日は「内閣府への告発状提出について解説致します!」と題して、ニュースで騒がれる告発にどんな意味があり、何の効果があるのか?といって点についてご説明してみたいと思います。

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内閣府とは一体?

ではまず最初に、告発状が提出される内閣府という機関がどの様なものであるかという点から、ご説明を始めましょう。

政治のニュースなどを見ていると「●●内閣」なんて言葉をよく耳に致しますが、内閣府の役割を理解するには、まずこの内閣という言葉の意味を抑える必要があります。

実はこの内閣という言葉は、政治の機関を表す言葉であり、日本の最高合議機関として位置づけられている代物です。

そしてその中身を見てみれば、国土交通省や財務省などの各省庁がズラリを名を連ねており、そのトップに君臨するのが内閣総理大臣となります。

よって、内閣は総理大臣と各省の大臣が集結して構成する「行政の最高政治機関」とも言い換えることが出来る訳です。

そんな内閣の中で各省庁と並んで設置されているのが内閣府なのですが、実際にはどんな仕事をしているのでしょうか。

ご存知の通り、各省庁はそれぞれが管轄するジャンルの仕事を日々こなしている訳ですが、実際の政治の舞台では日々様々な問題が発生するもので、中には一体どの省庁が担当すべきなのか判らない案件も出て来ます。(北方領土の問題や皇族関連の仕事など)

また、一つの問題を解決するのに様々な省庁が協力しなければならないケースだって存在するはずです。(食の安全問題や子育ての問題など)

しかしながら日本の行政は、ただでさえ「縦割り」なんて言われ方をしていますから、各省庁に任せていたのではスピーディーな解決が望めるはずもありませんよね。

そこで設置されることになったのが内閣府という機関であり、こうした厄介な問題ごとに「特命大臣」という大臣を置き、各省庁の壁を取り払った迅速な活動を行えるようにしたのです。

こんなお話しをすると内閣府が素晴らしいエリート組織の様に聞こえるかもしれませんが、時には「政府の便利屋さん」なんて言われ方してしまう上、その業務は膨大な量に及ぶと言われていますから、考えようによっては非常に可哀想な組織なのかもしれません。

内閣府と公益法人

そんな内閣府の数ある仕事の一つとされているのが、スポーツの団体などが名を連ねている公益法人に関するものとなります。

公益法人と言えば、「営利を目的としない団体」というイメージですが、単に非営利目的というだけならば、一般財団法人や社団法人なども存在してしおり、その区別が付いていない方も多いのではないでしょうか。

実は公益法人と、その他の非営利法人では大きな差があり、比較的設立の容易な「その他の法人」に対して、公益法人となるためには「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(略称・公益法人認定法)」という法律に定められた厳しい審査を通過する必要があるのです。

また、こうした厳しい基準をクリアーした団体であれば社会からの評価も高くなりますし、税制の面でも手厚い優遇が受けられるため、多くの一般法人が公益法人化を目指しているといいます。

そして、この公益法人の認定や監督などの業務に当たっているのが、内閣府の公益認定等委員会と呼ばれる機関となりますから、公益法人の内部で問題が生じた場合には内閣府に告発を行って、処分等を願い出ることになる訳です。

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公益法人認定法とは?

これまでのお話にて、「どうしてスポーツ選手などが、所属する団体の不祥事などを内閣府に告発するのか?」という疑問は解決出来たかと思いますが、では告発が行われた場合に「内閣府は公益法人に対してどの様な対処が行えるのか」という点も気になりますよね。

そして、その疑問の答えを知るには、前項でご紹介した「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(略称・公益法人認定法)」を紐解く必要があるでしょう。

公益法人認定法が施行されたのは平成18年となりますから、実はそれ程歴史のある法律ではありません。

もちろん、それ以前にも公益法人に関わる法律は存在していたのですが、あまりに審査が厳し過ぎるなど多くの問題を抱えていた為、新たに整備され直したのがこちらの法律となります。

この法律では公益法人の認定に係る事項から、法人の活動の在り方、会計に至るまで、様々なルールを定めているのですが、その中には当然、公益法人への監督や罰則に関する事項も含まれているのです。

例えば、内閣府が求めた場合には関係者への質問(取り調べ)、帳簿・書類等の閲覧が可能ですし、必要であれば立ち入り検査まで認められています。

そして調査の結果、公益法人として望ましくない事実が判明した場合には、必要な措置を行う様に勧告を行うことが出来ますし、これを法人が無視した場合には、公益法人の資格を取り消すことも可能なのです。

前項でもお話しした通り、一般法人が公益法人に昇格するには、相当な労力が必要となりますし、公益法人であることによって受けられる税制優遇等のメリットも絶大なものがありますから、法人にしてみれば内閣府の勧告ほど恐ろしいものはないでしょう。

こうした事情を背景に、公益法人に対する内部告発が行われることになるのです。

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内閣府への告発状まとめ

さてここまで、公益法人と内閣府への告発というテーマでお話しをして参りました。

ニュースなどで「告発状」なんて言葉を聞くと、『一体何が起こっているのか?』と驚いてしまいますが、実はこうした法律的な背景があった訳です。

また、こうした諸事情を知っているれば、同じニュースでも様々な側面が見えて来るものですから、これを機会に公益法人に関するご理解を深めて頂ければと思います。

ではこれにて、「内閣府への告発状提出について解説致します!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

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