調停とは

 

離婚を扱ったドラマなどで度々耳にするのが「調停」なる言葉ですよね。

「問題を話し合いで解決する・・・」という大体の意味は多くの方がご存知かと思いますが、「その詳細については良く理解出来ていない・・・」という方も多いはず。

そこで本日は「調停とは?という疑問にお答えします!」と題して、知っていそうで知らない調停というイベントについて解説してみたいと思います。

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調停ってなんだろう?

冒頭でも申し上げた通り、調停に対して「話し合いで揉め事を解決するイベント」という漠然としたイメージをお持ちの方も多いことと思います。

実はこのイメージ、決して的外れなものではないのですが、より正確に言い表すのならば「揉め事の当事者間に第三者(裁判官や調停委員)などが入り、問題を合意で買行けるする法制度」ということになるでしょう。

この様にお話すると、「結局はただの話し合いなんだ・・・」と思われるかもしれませんが、先程申し上げた様に調停は立派な法律上の制度となっており、ここで合意に至った事項は「調停調書」に公的に記録され、ここで約束された事項は判決と同等の効力を持つことになるのです。

また、相手方から調停を申立てられた際は、裁判所より呼出しを受けることになりますが、正当な理由なくこれを欠席すれば「過料」と呼ばれる罰則金の支払いを課せられることになります。

「話し合いなのに随分厳しいルールだな」と感じるかもしれませんが、問題解決に裁判という方法を用いれば、弁護士費用等のそれなりのお金と時間が掛かってしまうのに対して、調停はこうした時間とお金を大幅に節約することが可能となりますから、考え方によっては当事者双方にとって非常にメリットの大きい制度と言える訳です。

さて、ここで気になるのが「実際に調停を申し立てるにはどうすればよいの?」ということになるかと思いますが、実は調停には大きく分けて3つの種類がありますので、その内容によって申し立てのプロセスも変わってきます。

そこで次の項では、調停の種類とそれぞれの特徴などについてお話させて頂くことと致しましょう。

 

調停には様々な種類がある

では早速、調停の種類について見て行くことにしましょう。

まず調停の種類を大きく分けるのが「民事調停」と「家事調停」、そして「特定調停」という分類となります。

民事調停は、お金の貸し借りや、交通事故、アパートの賃料の支払いなど、民法の規定を受ける争い全般、裁判所の種類で言えば簡易裁判所や地方裁判所で扱われる案件とです。

これに対して家事調停は、離婚や養子縁組、子供の認知などの家事事件、つまりは家庭裁判所で扱われる案件に対する調停となります。

また3つめの特定調停は、主に借金問題を解決するための調停です。

そしてここからは、この民事調停・家事調停・特定調停の詳細についてご説明して行きましょう。

 

民事調停

裁判所で行われる訴訟を見ても判る通り、民事事件のジャンルは恐ろしく膨大なものとなります。

これら性質の異なる事件を一括りに扱うのは非常にしんどいということで、民事調停には非常に細かい種類分けが行われています。

 

宅地建物調停

アパートや貸家などの賃貸物件に係る内容や、借地の問題、相隣関係なども含めた問題を話し合う調停となります。

 

商事調停

商売における手形、小切手などの権利関係や、売掛金、その他商売絡みの紛争に関する調停となります。

 

交通調停

交通事故に関する紛争を解決するための調停となります。

 

一般調停

ここまでご紹介して来た以外にも、農業に関するものや、公害についての調停など、様々な種類の調停が存在しますが、そのどれにも属さないものを一般調停と呼んでいます。

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家事調停

この項の冒頭でもお話した通り、家庭裁判所で争う案件に関する調停となります。

家庭裁判所で扱う事件は、氏名変更や失踪の宣言など当事者間で争う内容ではない事件も含まれていますから、こうした事件は調停の対象外です。(詳細は「家庭裁判所とは?という疑問に答えます!」の記事を参照)

それに対して、人事訴訟(身分関係を争う訴訟)などに発展し得る離婚や子供の親権などに関する問題については、調停を行えるルールになっています。

なお民事訴訟の場合、調停などしなくても即座に揉め事を裁判へ持ち込むことが出来ますが、平和的な解決を目指す家庭裁判所では、調停を経てからでないと裁判に持ち込めないルールとなっているのです。

よって、争いを穏便に解決するために調停となるケースもありますが、それ以上に裁判の予備段階として調停が行われることも多いのが現実となります。

また、家事調停の特徴として挙げられるのが、例え調停が合意とならなくても、裁判官が「審判」と呼ばれる結論を出すことが出来るのです。

もちろん当事者たちがこの審判に納得が行かない場合には、異議を申し立てることが可能で、その後は裁判へと発展して行くことになります。

「お互いが納得してないのに、何で裁判官が結論を出すのだろう」とも思いますが、この審判制度はお互い譲らない者に「落とし所」を占めすという意味があり、平和的な解決を望む家庭裁判所らしい制度であるのではないでしょうか。

 

特定調停

そして最後が、主に借金問題を解決するために用いられる特定調停となります。

他の調停が遥か昔から行われて来たのに対して、こちらの調停は平成12年生まれの若い制度です。

当時は消費者金融などが高利でお金を貸し付け、酷い取り立てを行っていたことなどが問題になった時期で、こうした借金問題を解決するべく創設された調停となります。

基本的には借入の返済に行き詰った債務者が、債権者を相手に調停を行うというスタイルですが、調停を起こすことにより強制執行を保証金なしで停止させられたり、債権者に証拠資料を強制的に提出させる権限があったりと、非常にお金を借りている人間に有利な制度となっているのが特徴。

もちろん、あくまで調停ですから相手方が「合意しない」と言えばそれまでですが、多くの場合、返済の減額や金利の見直しが可能となる様です。

しかしながら、もし調停で合意した後に返済が滞れば、債権者は一気に強制執行が可能となりますから、場合によっては自らの首を絞める結果にもなりかねないというリスクも存在しています。

 

調停の流れ

ここまでのお話で、調停の種類についてはご理解頂けたかと思いますので、こちらの項では具体的な調停の流れについて説明して行きます。

まず調停を起こそうと思い立ったら、所定の裁判所に出向き、調停の申し立てを行う必要があるでしょう。

過去記事「民事訴訟の流れを解り易く解説致します!」において、裁判を行う際に提出する「訴状」は書き方が非常に難しいとお話しましたが、調停の申立書は非常に簡単な書式となりますから、弁護士などに書いてもらう必要はないはずです。

また、家庭裁判所に至っては調停開始の手続きなどを案内してくれる専門部署まで存在していますから、これは非常に助かりますよね。

こうして申し立てが終われば、後は調停の日程を決めて、話し合いを行うのみです。

ただ、何の根拠もなしには話し合いも始められませんから、お金の貸し借りの場合なら借用書など、証拠となる資料は事前にしっかり用意しておく必要があります。

そして調停には「何回開催する」という決まりはありませんから、必要があれば何度も話し合いの場が持たれ、最終的に「合意となるか」、「不調に終わるか」という着地点に向けて進んでいくのです。

なお、借金の返済などについては、相手が調停中に有り金を使い果たしてしまわない様に、仮の処分を申し渡すことが可能ですが、民事訴訟における「仮処分」のような執行能力は与えられていないので、違反した者は過料(反則金)を課せられるのみとなります。

また、調停を起こすことでお金を返さない相手などに対して、時効を中断することが出来ますが、調停が不調に終わった際には2週間以内に訴訟を起こさなければその効力は失われてしまうため、調停を申し立てる以上は、裁判も辞さないという覚悟が必要になってくるでしょう。

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調停まとめ

さてここまで、調停という制度について解説を行って参りました。

調停は合意にさえ至ることが出来れば、裁判をしたのと同等のメリットを、時間的にもお財布的にも優しく得ることの出来る素晴らしい制度ですが、裏を返せば、不調に終わってしまうと裁判をせざるを得ない状況となってしまうというデメリットも有しています。

ただ、貸したお金の回収や、アパートなどの家賃を請求したい場合には、相手も「払わない」なんて主張はし辛いものですから、「支払う」と約束させ、焦げ付けば「即強制執行」というスピーディーな問題解決が図れるのも事実です。

こうした調停のメリットを十分に理解して、この制度を上手に活用することが、スムーズにトラブルを解決する鍵となることでしょう。

また家事事件では、専門家である第三者を介して話し合うことで、当事者同士では思いもよらなかった解決策を導き出せるケースも多い様ですから、これは是非積極的に活用して行きたいものです。

ではこれにて、「調停とは?という疑問にお答えします!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

 

参考文献

藤田裕監修(2015)『図解で早わかり 最新版 訴訟のしくみ』三修社 256pp ISBN978-4-384-04643-4

自由国民社編(2015)『相手を訴える法律知識』自由国民社 448pp ISBN978-4-426-11951-5

自由国民社編(2015)『夫婦親子男女の法律知識』自由国民社 472pp ISBN978-4-426-11951-5

 

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