弁護士とは

 

社会生活を営んでいると、実に様々な問題に直面するものです。

交通事故に近隣住民との揉め事、金銭トラブルに離婚問題など、その枚挙には暇がありません。

そして、こうしたトラブルが発生した際に、とても頼りになる存在が「弁護士」なる法律の専門家です。

近年ではテレビのバラエティー番組などにも出演し、以前よりも身近な存在となりつつある彼らですが、その実像については「あまりイメージ出来ない」という方も多いのではないでしょうか。

そこで本日は「弁護士とは?という疑問にお答えします!」と題して、知られざる法律家の実像に迫ってみたいと思います。

スポンサーリンク

 

弁護士って何をする資格?

この世には実に様々な資格が存在していますが、それぞれの資格を持つことによって「一体何が出来るか?」については、あまり知られていないケースも多い様です。

例えば行政書士であれば、行政に提出する書類の作成を代行出来る資格となりますし、税理士であれば依頼を受けた者の代わりに確定申告を行うことが出来るのですが、こうした資格の本質を正確に理解している方は意外に少ないことでしょう。

そしてこれが「弁護士」ともなれば、『裁判で助けてくれる人?』くらいの認識しかお持ちでない方が多いかと思いますが、弁護士の資格を一言でご説明するならば「他人の代わりにあらゆる法律行為が出来る資格」ということになります。

この様に説明されても、「法律行為って何のこと?」という感じかもしれませんが、我が国は法治国家となりますから、ネット通販で商品を買う行為も、賃貸のお部屋の契約も、レストランで注文をすることさえ法律行為の一環と解釈されるのです。

よって弁護士は、他人に代わって様々な行為を行える資格ということになりますから、交通事故の示談を代行したり、民事訴訟で代理人として出廷する等、当事者でないにも係らず、あらゆる問題の解決に当たることが可能となる訳です。

また、法律相談業務が行えるのも弁護士のみの特権となっていますし、刑事訴訟において弁護人として検察という国家権力から庶民を守る職責も負っていますから、その存在は正に「法律の番人」と言えるものとなっています。

 

弁護士の立場

ここまで、弁護士は「法の番人」「国家権力から人々を守る役割を担っている」なんてお話をして参りましたが、実はこうした表現は決して比喩ではありません。

通常、司法書士や宅地建物取引士などの士業を始め、銀行や会社であっても、行う業務によって監督官庁が定められています。

そして業務に不適切な点があれば、監督官庁からの指導や勧告、場合によっては業務停止などの処分が下されるのが通常でしょう。

しかし、法の番人である弁護士が国などを相手に裁判を行うのに、監督官庁からの圧力などがあっては、公平な裁判は出来ませんよね。

そこで弁護士の活動を規定する弁護士法では、彼らにあらゆる国家権力からの独立性(弁護士自治)を保証しているのです。

よって、弁護士が不祥事を起こした場合には、監督官庁の代わりに弁護士会がその処分を決定することになっており、問題を起こした者は懲戒委員会で審査された上、罰をを受けることになります。

スポンサーリンク

 

弁護士にもジャンルがある?

テレビドラマや映画を見ていると、「離婚弁護士」「企業弁護士」なんて用語が飛び交うことがあります。

当然、弁護士だって人間ですから、扱う事件のジャンルによって得手・不得手はあるもので、離婚などの家事事件に強ければ「離婚弁護士」なんて呼ばれ方をしてしまう訳です。

また、扱う件数の多い事件の性質によっても、刑事事件専門の弁護士、民事がメインの弁護士といった線引きがなされています。

こんなお話をすると、「自分が弁護士を選ぶ際に得意分野をどうやって見分ければ良いのか」と不安に感じてしまう方も多いと思いますが、弁護士会では得意な事件のジャンル別で弁護士を検索できるサービスも用意していますから、そちらをご参考にして頂くのが良いでしょう。

※弁護士選びの詳細は過去記事「弁護士の選び方を解説致します!」をご参照下さい。

因みに「企業弁護士」とは、一般企業に社員として席を置いている弁護士を指す用語となります。(企業内弁護士・インハウスローヤーとも)

弁護士という個々に事務所を構えているイメージがありますが、大手の弁護士事務所に勤務する者から、他の弁護士と共同で事務所を運営している者(共同事務所)、事務所自体を法人化(弁護士法人)しているケースまで、様々なパターンが存在しているのです。

 

ここが凄いよ弁護士

では、そんな弁護士には職務上どのような権限が与えられているのでしょう。

「弁護士って何をする資格?」の項にて、民事訴訟で代理人を務めることが出来る等の法律行為の代行や、刑事訴訟において弁護人を引き受けることが出来る旨はご説明致しましたが、弁護士には更に様々な権限が与えられています。

例えば弁護士資格を持つ者には、その職務上で必要な場合に税理士や司法書士、行政書士、弁理士、社会保険労務士など、本来は別の資格を持っていないと行えない業務をすることが許可されているのです。

更には所属する弁護士会の許可が下りれば、弁護士法23条の規定により、一般企業はもちろん、市役所や区役所などに情報の照会を行う権限も与えられています。

※但し、照会が行えるのはあくまで弁護士会であり、弁護士個人ではない。

サラリと「情報の照会」と言ってしまうと、それ程凄いことでは無いように聞こえますが、携帯会社に対してこれを行えば、通話記録を手に入れることが可能でしょうし、銀行に対して照会行えば預金残高から住宅ローンの返済状況まで知ることが出来る訳ですから、これは相当な権限を持っていることになるでしょう。

因みにこうした弁護士会からの情報開示請求を拒んだとしても、罰金などの罰則は設けられていませんが、過去には情報開示を拒んだことを理由に損害賠償を請求された例もありますから、正当な理由もないのに情報提供を拒否するべきではありません。(弁護士会からの紹介には個人情報保護法も適応されません)

スポンサーリンク

 

弁護士とは?まとめ

さてここまで、弁護士の職務や社会的な立ち位置、その権限などについて解説を行って参りました。

国家資格のランキングなどを見ると、だんとつの難易度を誇る司法試験をパスした者だけが就くことが出来る職業だけに、与えられる特権も強大なものとなっているのがお解り頂けたことでしょう。

こうした弁護士に関するお話をお読みになると、「自分も弁護士になりたい!」と思われる方も多いことと思いますが、やはりこのお仕事はかなり厳しいものの様です。

別記事「弁護士になるには?その道のりをご紹介致します!」でもご紹介した様に、資格を取るだけでも相当な労力と時間、そして能力を問われることになりますし、弁護士になっただけでは生活が保障される訳でもありません。

また仕事柄、恨みを買うことも少なくありませんから、事務所に万全のセキュリティー対策を講じる必要があるなど、決して憧れだけで目指せる職業ではないのが実情でしょう。

ただそれでも、法の番人として正義を貫きたいのであれば、弁護士以上にやりがいのある仕事は他にないかもしれません。

ではこれにて、「弁護士とは?という疑問にお答えします!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

スポンサーリンク