お金の貸し借り

 

親子間や兄弟間は元より、友人同士・恋人同士の間でも、お金の貸し借りが行われることは珍しいことではありません。

「100円貸して!」というライトなものから始まって、今月ピンチだから「1万円貸して欲しい」なんてケースもあるでしょうし、

時には「消費者金融の返済に追われていて、どうしても50万円貸して欲しい」なんていう非常にヘヴィなお願いをされることもあることと思います。

もちろん約束通りにお金を返してもらうことが出来れば、何も問題はないのですが、これが「なかなか返してもらえない」なんてことになれば、色々な意味で悩ましい事態になってしまうはずです。

そこで本日は「お金の貸し借りの法律問答をお届け!」と題して、借金に関する法律知識をお届けしたいと思います。

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そもそも借金て何?

ではまず、「そもそも借金とは法律上どの様に定義されているのか」という点から解説を始めさせて頂きたいと思います。

消費者金融や銀行などでお金を借りる際には、借用書などと呼ばれる契約書に署名・捺印を行うことになりますが、この契約の正式な名称は「金銭消費貸借契約(きんせんしょうひたいしゃくけいやく)」と呼ばれる代物です。

非常に難しい名前が付けられているこの契約ですが、その定義は「ある人間からお金や物を借り、借りた物と同じ価値のある品を返す契約」というものになります。

例えば、友人に消しゴムを借りて、後日新品を買って返すという約束をすれば、これは法律上「金銭消費貸借契約を締結した」と解されることになりますが、現実にはお金の貸し借り以外では殆どお目に掛かれない契約形態です。

なお、金銭消費貸借契約に似た言葉で「準金銭消費貸借契約」という言葉もありますが、こちらは現実に物の受け渡しが必要な金銭消費貸借契約に対して、受け渡しが無くても成立するのが特徴となります。

こちらも例を挙げるとすれば、友人から借りた車をぶつけてしまし、修理代として30万円を支払うなどの約束した場合には、準金銭消費貸借契約を締結したことになるのです。(30万円は支払ったが、現物の公布は行われていない)

 

口約束の借金について

さて、人とお金を貸し借りすることが、法律上「金銭消費貸借契約を締結していることになる」ということはご理解頂けたことと思いますが、実生活で家族や友人にお金を借りる際に借用書を取り交わすことは、滅多にありませんよね。

また実際には、借用書どころか「何時までに返す」程度の口約束を交わす程度の場合が殆どとなるはずです。

では、こうした何気ないやり取りで成立した借金について、法律はどの様な効力を認めているのでしょうか。

まず「金銭消費貸借契約が成立しているか、否か」については、例え口約束だったとしても『契約は成立した』とみなされます。

但し、裁判などで争われた場合には、約束した際の音声でも録音していない限りは証拠が残りませんから、メモ書き程度でも相手に一筆書いてもらう方が安全でしょう。

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細かい決め事がない借金のルール

口頭での借金の約束が有効であることが判ったところで、細かい条件が整っていない借金に対して、法律がどんなルールを定めているかを見て行きましょう。

 

期間の定めのない借金

「●月●日までに返す」という約束をせずにお金の貸し借りをした場合、法律は「何時お金を返しても良い」というスタンスを借り手に与えています。

但し、お金を貸した側が改めて「●月●日までに返して欲しい」と相当な期間を定めて請求(催告)すれば、借りた側もこれに従わなければならないのがルールです。

 

利息を定めない場合

家族や友人・知人などの間でお金を貸し借りする場合には、利息についての取り決めを行わないことも多いはずです。

利息について法律は、お金を借りた際に「利息付き」という約束をしない限りは、利息の請求を認めないとの見解を示しています。

また利息を付ける旨は話したが、「利息~%」という具体的な約束をしていないという場合には、法定利息である年利5%の金利を請求することが可能です。

※法定利息は法改正により2020年から3%へと変更になり、以降は3年ごとに変動する制度となります。

 

遅延損害金

では「●月●日までに返す」という返済の約束を破った場合については、法律はどの様な判断を下しているのでしょう。

約束の日に借金を返さない場合には、遅延損害金というペナルティーを相手に課すことが出来るルールとなっており、こちらも年利5%と定めれています。

なお遅延損害金は「返済が遅れた場合には、損害金を取る!」という約束がなくても認められる性質のものとなりますから、この点には注意が必要でしょう。

 

借金返済のルール

さて続いては、借金を返す際のルールについて解説をさせて頂きたいと思います。

友人同士の借金などですと、返済についても「ただお金を受け取るだけ」というパターンが多いとお思いますが、借り手が「領収書を発行して欲しい!」と申し出た場合には、貸し手はその発行を断ることが出来ません。

また、返済が分割で長期に渡る際などには、受け取ったお金を元金に充てるべきなのか、利息に充てるべきなのか悩んでしまいますが、この点について法律は「利息が最優先」との判断をしています。

そして遅延損害金がある場合には、こちらも元本より優先されますから、利息→遅延損害金→元金の順で借金が減って行くルールです。

なお、10回払いで利息が年利5%なんて約束をしていたのに、「5回目の支払いで全額を繰り上げ返済」なんて申し出を借主から受けた場合には、貸主は10回払いで受け取れるはずだった利息分を請求することが許されています。

因みに民法は、借金が完済された際には「貸主は借主に借用書を返還すること」と定めていますから、最後の支払いの時には領収証の代わりに借用書を渡す様にしましょう。

 

家族間の借金

では、この借金が家族間で行われた時には、一体どんな扱いを法律は定めているのでしょう。

実は裁判所は、兄弟間や親子間の借金であっても、ここまでお話して来た借金のルールは「そのまま適用して良い」という判断を示しています。

よって、家族間でも利息などは当然有効ですし、どうしても借金を返してくれない場合には、訴訟を起こすことも、強制執行に踏み切ることも可能なのです。

因みに刑法では、同居の家族がお金を盗んだ場合には「罪に問わない」と定めていますから、窃盗はOKで、借金は返済義務ありという見解には少々疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。(詳細は別記事「親の金を盗む子供、親を殴る子供の法律問答!」をご参照下さい)

ただ、ここで唯一例外となるのが夫婦間での借金の問題です。

実は民法では、「夫婦間の契約はどちらか一方の意思で、何時でも取り消せる」としていますから、「夫婦でのお金の貸し借りは返さなくても問題なし」というのが原則となります。

但し、これは夫婦関係が平穏に保たれているのが前提となりますから、別居していたり、離婚寸前の夫婦間では通用されない理屈となるでしょう。

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お金の貸し借りまとめ

さてここまで、お金の貸し借りについての法律問答をお送りして参りました。

家族や友人とは、気軽にお金の貸し借りをしているという方も多いでしょうが、一端トラブルとなった際には非常にこじれる問題となるはずですから、正しい法律知識を身に付けてトラブルを回避して頂きたいと思います。

また、今回解説した借金のルールは消費者金融等との契約の中でも活きて来る部分がありますから、覚えておいて決して損になることはないはずです。

ではこれにて、「お金の貸し借りの法律問答をお届け!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

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