私たちの生活において、今や無くてはならないものとなっているのが通信販売ですよね。
あらゆる商品をスマホの操作ひとつで、素早く購入出来るのは非常に便利ですし、場合によっては即日商品が手元に届くのですから、「既に買い物の大半は通販で済ませている」という方も多いことでしょう。
しかしながら通信販売は非常に便利な反面、注文したものとは異なる商品が届いたり、使ってみたら不良品であることが発覚するなど、トラブルの多さも問題となりつつあります。
そこで本日は「通信販売のクーリングオフ制度やトラブル対応について解説致します!」と題して、通販における返品や問題発生時の対処について考えてみることに致しましょう。
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通信販売でのクーリングオフ
通信販売を利用した際に、最も多く発生するトラブルが「返品を巡るもの」であると言われています。
近年の通販サイトには、商品の細かなスペックから寸法、取扱い上の注意点に至るまで、細かな説明がなされていますが、実際に手に取ってみると「何だか気に入らない!」というお気持ちになる方も多いようです。
こうした際にフッと頭を過るのが、テレビの情報番組などで繰り返し報じられている「クーリングオフ」という言葉なのですが、果たして通信販売において、この制度を利用することが出来るのでしょうか。
まず結論から申し上げてしまえば、「通信販売においてクーリングオフを行うことは出来ない」というのが答えになります。
クーリングオフとは、特定商取引法という法律の規定により「一定の方法で行われた取引について、商品の引渡し又は契約から8日以内であれば、買い手の一方的に意思表示でキャンセル(白紙解約)が可能」という制度なのですが、通信販売においてはこのクーリングオフが適応されないのがルールです。
※クーリングオフ制度の詳細につきましては、過去記事「クーリングオフとは?消費者を守る法制度を解説!」をご参照下さい。
そもそもクーリングオフとは、その名称が示す通り「熱くなった頭を一旦冷まして、良く考えてみましょう」というのが主旨ですから、訪問販売や電話勧誘など『売り手の圧力に、買い手が圧倒されてしまう可能性がある取引』にのみ適応されるのが原則となります。
これに対して通信販売では、売り手からの過剰なセールスはありませんし、商品の画像を見ながら買い手はじっくりと「買うべきか、止めておくべきか」を考える時間があるはずですから、その保護の対象外と位置付けられているのです。
では、「通信販売においては一切消費者を救済する術はないのか?」ということになりますが、法律はしっかりと逃げ道を用意してくれています。
これは平成21年の特定商取引法の改正にて加わえられた新ルールであり、「返品に関する特約」を結んでいない通信販売の取引においては、クーリングオフと同様の『8日間以内の返品』が認められることになったのです。
通販サイトなどを見ていると、「返品について」などの説明事項が書かれていることがありますが、こちらが「返品に関する特約」であり、ここが空欄であったり、そもそも返品についての説明がない場合には『返品特約なし』と判断されます。
但し、この返品についての説明事項に「返品不可」「返品は3日以内」などの記載がある場合には、相手が定める特約に従わざるを得ないのが実情ですから、注文を行う際にはしっかりと特約内容を確認することが重要となるでしょう。
なお、届いた品物が不良品であったり、そもそも注文した商品と異なるものが届いた場合には、この返品特約とは別の方法で対処が可能となりますから、こちらについては後程解説させて頂きます。
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通信販売業者と特定商取引法
前項の解説において「特定商取引法」なる法律の名が出て参りましたが、実は通信販売を生業にしている業者は一様にこの法律を守らなければならない立場にあります。
そして逆を返せば、「この法律を守らない業者は悪徳業者」とも言える訳ですから、特定商取引法を学べば『通信販売でのトラブルを避けやすくなる』はずですよね。
そこで本項では、利用者が知っておくき特定商取引法の概要について解説を行って参ります。
特定商取引法が適応される業者
ではまず「どんな者が特定商取引法の規制を受けるのか」という点から、ご説明を始めましょう。
この法律では「通信手段により申込みを受ける販売業者」には全て適応される旨を謳っていますから、法人であろうと個人であろうと、インターネット上で商品の販売を行っている者は、全てが規制の対象と考えられます。
また、この様にご説明すると「個人でネットオークションに出品している人はどうなるの?」との疑問を持たれる方もおられるでしょうが、
例えオークションの出品であっても反復継続したものであり、一定数以上の商品を出品している(または一定額以上の売り上げがある)者について、やはり特定商取引法が適応されることになるのです。
特定商取引法の規制内容
そして続いては、特定商取引法により通信販売業者が受ける規制の内容について解説して参りましょう。
誇大広告の禁止
特定商取引法は通信販売を行う業者に対して、虚偽や誤解を与える広告を行うことを禁じています。
そして、これに違反した業者に対しては100万円以下の罰金や行政処分などのペナルティーを課しているのです。
承諾の無い相手へのDMの送信禁止
通販サイトにおいてユーザー登録などを行うと、おすすめ商品などが紹介されたDM(ダイレクトメール)が届く場合ありますが、こちらも利用者の承諾を得ていなければ、法令違反として罰せられることになります。(100万円以下の罰金・行政処分)
広告への記載事項
特定商取引法では、購入へ誘導する広告の内容についても細かな取り決めを行っています。
なお、記載すべきとされる事項は
- 売買代金の支払時期・支払方法
- 商品の引渡時期
- 返品特約
- 販売者の名称・連絡先
- 申込みの有効期限
- 不良品だった場合の扱い
- カタログ請求が有料であるか
- 対象がソフトの場合の動作環境
- 販売数量や条件に関する事項
となっており、違反した場合には行政処分並びに100万円以下の罰金に処せられるのです。
代金前払いの場合
また、先に代金の全部、若しくは一部を支払った後に商品が届けられる場合には
- 業者が注文を請負うか、否か
- 代金受取り以前に注文請負の意思表示をしている場合はその旨
- 販売者の名称・連絡先
- 受け取った金額
- 代金を受け取った日時
- 注文内容の確認
- 商品の受け渡し時期
以上の内容を書面にてユーザーに通知するルールとなっており、違反した場合には前項同様のペナルティーを受けることになります。
申込みプロセスの整備
ネット通販を利用して注文を行う場合には、一度購入ボタンをクリックしても、必ず「本当に注文して良いですね」といった確認ページが表示されます。
こちらも特定商取引法で定められたルールとなっており、ユーザーの意に反した契約を防止するための手段となっているのです。
なお、確認ページ等を設置していない場合には100万円以下の罰金や行政処分などのペナルティーを負わされます。
さて、以上が特定商取引法で定められた通信販売業者に対する規制の主な内容となります。
改めて確認してみると、「本当にこうした決め事が守られていのる?」という気もして来ますが、実際の通販サイトを見てみると殆どの業者さんがしっかりとルールに則った営業をされている様です。
そして万が一、ルールを無視した業者を見掛けた際には、見逃すことなく通報することで、質の悪い業者を締め出すことが出来ますから、是非ともご協力をお願い出来ればと思います。
不良品が届いた際の対応
そして最後に、通信販売で届いた商品が不良品であり、販売業者が返金に応じてくれない場合の対抗策について解説しておきましょう。
まず最初に確認するべきは、冒頭でもお話した「返品特約」の有無となります。
返品特約が無ければ、商品到着から8日間以内であれば業者はこれに応じざるを得ませんし、より短い期間の特約(3日以内などの場合)でも、その範囲内であれば返品が可能です。
そして「返品不可の特約がある場合」や「返品期間を超過しているケース」では、届いた商品が不良品である旨を伝え、債務不履行による契約解除を主張することになります。
但しこの場合には、素人が全ての手続きを行うことは困難ですから、国民生活センターなどの公的な機関に相談するか、弁護士などの法律家からアドバイスを受けるべきです。
また、届いた商品が販売業者自身の手で製造された物でない場合には、製造メーカーへ直接クレームを入れるという手段もあります。
過去記事「PL法とは?わかりやすく解説致します!」でもお話し致しましたが、メーカーは製品に対して非常に重い責任を負っていますから、決して無碍な対応をされることはないはずです。
因みに販売を行った通販業者についても、「故意(ワザと不良品を送った)」「過失(注意を払えば不良品だあることが予測出来た)」がある場合には、
その責任を逃れることは出来ませんので、販売業者の対応に不満がある際には、この点を厳しく追及していくのが良いしょう。
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通信販売のクーリングオフ制度・トラブル対応まとめ
さてここまで、通信販売におけるクーリングオフやトラブル対応について解説を行って参りました。
通信販売は非常に便利なものですが、悪質業者が紛れ込んでいるケースも決して少なくはありませんので、利用する側もしっかりと知識を身に付け、取引の安全を確保したいものですよね。
ではこれにて、「通信販売のクーリングオフ制度やトラブル対応について解説致します!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。
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