プライバシーと法律

 

人間である以上、誰でも人に見られたくない姿や、知られたく側面はあるものですよね。

しかしながら現代では、画像や動画がスマホなどで簡単に撮影出来るようになりましたし、街中には防犯カメラが溢れている時代ですから、自分の秘密を守り抜くのは至難の技と言えるでしょう。

また、世間では盗撮や盗聴など憎むべき犯罪が横行していますから、女性にとっては非常に暮らし辛い世の中となっているはずです。

そこで本日は「プライバシーと法律について考えます!」と題して、プライバシーという人間の尊厳に係る問題の法律問答をお届けしてみたいと思います。

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盗聴について

現在では少々時代遅れな感じさえしてしまう、プライバシー侵害の手法が盗聴という手段です。

テレビ番組などでは探知機を搭載した車両で街中を調査し、盗聴器を発見するなんて企画をよく見掛けますが、こうした犯人たちは一体どんな罪に問われることになるのでしょう。

また、盗聴器の中にはペンの形状をしていたり、見た目は電源タップ (タコ足配線コンセント)の様な形状をしたタイプのものも存在しますが、果たしてこうした商品を販売・製造することは「法に触れないのか?」という点も気になりますよね。

まず結論から申し上げれば、盗聴を行うことも、盗聴用の機材を販売することも、我が国では犯罪とはみなされません。

「そんなバカな!」とお思いになられるかもしれませんが、これは紛れも無い事実です。

但し、盗聴器を仕掛けるに当たって、相手の部屋に侵入すれば「住居侵入罪(懲役3年以下又は10万円以下の罰金)」に問われますし、壁に穴を空ければ「器物損壊罪(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金)」となりますから、他の罪状にて対処するしかありません。

なお盗聴によって知った情報を他人に漏らせば「電波法違反(1年以下の懲役又は20万円以下の罰金)」となりますし、電話線や受話器等に盗聴器を仕掛けた場合には「有線電気通信法違反(1年以下の懲役又は20万円以下の罰金)」にて処罰を受けさせることも可能となります。

因みに盗聴行為によってプライバシーが侵害された場合には、民事訴訟にて争うことも可能となり、相手に不法行為責任が認められた場合には損害賠償を請求することが出来るでしょう。

 

のぞきについて

では続いて、非常にオーソドックスなプライバシーの侵害行為となる「のぞき」について考えてみましょう。

一言でのぞきといっても、他人の家の中を覗く場合もあれば、階段で女性のスカートの中を覗く行為まで、様々なパターンがあります。

まず家の中を覗く行為については、「軽犯罪法違反(1日以上30日未満の拘留又は1000円以上1万円未満の科料)」に問われることになるでしょう。(自宅の風呂場やトイレも同様)

また、のぞきを行う為に他人の敷地に無許可で踏み込めば「住居侵入罪(懲役3年以下又は10万円以下の罰金)」となります。(住居の中には敷地も含まれますので、庭から覗いた場合でも処罰の対象)

但し、軽犯罪法では駅やデパートなど公共の場での覗きは罪に問えませんから、こうした場合は各都道府県が定める迷惑防止条例にて裁かれることになるでしょう。

「条例」と言うと非常に軽いペナルティーしか受けない様に感じますが、行政によっての違いはあるものの、罰金や懲役など軽犯罪法違反以上の罰が定められています。

なお当然ながら、のぞき行為に対しては民事上の損害賠償請求も可能です。

因みに電車の車内などで、後ろから他人のスマホを覗き込むといった行為については、刑法上の罪に問われることはありません。

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盗撮について

そして近年、非常に件数が増えつつあるのが盗撮という犯罪行為となります。

最も発生件数の多いわいせつ目的の盗撮については、のぞきと同様に公共の場で行われたから、自宅等で行われたかによって罰せられる罪が変わって来るでしょう。

駅や商業施設内で行われたものについては、各都道府県の「迷惑防止条例(行政によって異なるが罰金や懲役刑もあり)」となり、自宅にカメラなどを仕掛けた場合には、「軽犯罪法違反(1日以上30日未満の拘留又は1000円以上1万円未満の科料)」に問われることになります。

また、カメラの設置に敷地や建物に侵入した場合には「住居侵入罪(懲役3年以下又は10万円以下の罰金)」、設置するおりに建物を破損させれば「器物損壊罪(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金)」の罪が付加されるでしょう。

なお映画館でこっそり内容を撮影した場合には「映画盗撮防止法(1日以上30日未満の拘留又は1000円以上1万円未満の科料)」に問われる可能性がありますが、本屋さんで売られている書籍の内容を撮影する行為などについては、刑法にて罰することは困難であると思われます。

但し、本屋さんの場合でも民事上の不法行為責任を問われて、損害賠償請求を受ける可能性は充分にありますから、こうした迷惑行為は絶対にするべきではありません。

 

スマホの盗み見について

これまでの話題が主に外部の人間によって行われるプライバシーの侵害行為であったのに対して、こちらはむしろ家族や親しい人たちの間で行われることが多い行為となるでしょう。

恋人や配偶者の浮気を疑って相手のスマートフォンを盗み見たり、「子供が良からぬ人間と付き合っているのでは?」という不安から携帯電話をチェックする親は増えて来ているようです。

「のぞき」の項でも電車の車内等でのスマホの覗き見行為を取り上げましたが、そちらと同様、携帯端末の中身を見ただけでは「刑事責任を追及するの困難である」というのが一般的な解釈となります。

なお、民事訴訟を起こした場合には、勝手に携帯電話を見ることについて、不法行為責任を追及できる可能性がありますから、深刻なケースについては争う余地があるかもしれません。

但し、親が子供の携帯電話を見る行為は、「子供の生活を監督する親の義務の一部」と解釈される可能性が高いですから、こうしたケースでの責任追及は厳しいものがあるでしょう。

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プライバシーと法律まとめ

さてここまで、プライバシーと法律というテーマで解説を行って参りました。

「他人に知られたくない、見られたくない」という気持ちは、人間として当たり前の感情ですから、法律もそれなりの保護を行っていることをご理解頂けたことと思います。

但し、盗聴などに関しては、その行為自体を罰する法令が存在しないなど、まだまだ行き届かない点が多いことも事実ですから、今後はこうした点にも配慮した法改正がなされることを願うばかりです。

なお、本日ご紹介した様な問題に直面した際には、決して泣き寝入りをせず、断固たる対応を執って行くことが重要となりますから、是非正しい知識を身に付けて適切な対処を行って頂ければと思います。

ではこれにて、「プライバシーと法律について考えます!」の記事を締めくくらせて頂きたいと思います。

 

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