動物愛護法

 

現在、地球上を支配している生物と言えば、それは「人間」ということになるでしょう。

高い知能を持ち、発達した文明で森を切り開き、いくつもの都市を築き上げて来た人間は、今や地球を治める存在となっています。

また、私たちが暮らす社会を見渡しても、その全てが「人間を中心に考えられた構造」となっていることは疑う余地もありません。

しかしながら、地球上には人間以外の無数の生命が存在しており、日本という国を一つをとっても、野生の鹿に熊、カラスにスズメなど多くの動物と共生しているのが現実です。

また、近年では「ペットを家族の一員」と考える方々も増えつつあり、犬や猫はもちろんのこと、爬虫類に熱帯魚など、各家々に様々な生物が飼育されています。

そしてここで気になるのが、「我が国の法律ではこれらの動物に対してどの様な保護を与え、どの様な扱いを行っているのか」という点なのではないでしょうか。

そこで本日は「動物愛護法について解説致します!」と題して、私たち人類の素敵な隣人である動物と法律の関係についてお話してみたいと思います。

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動物愛護法とは?

「動物を傷付けた場合には器物破損の罪に問われる!」、そんな知識を『どこかで聞いた覚えがある』という方も少なくないことと思います。

確かに我が国の刑法では、動物を傷付けた場合に問われる罪は「器物破損罪(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料)」となっていますが、これは事故など「意図せずに動物を傷付けた場合」のお話です。

これに対して、故意に動物への虐待が行われた際には、動物愛護法という法律によって処罰されることになります。

この動物愛護法は、増え続ける動物虐待事件等に対処するべく昭和48年に施行された法律であり、時代の変化と共に改正を繰り返して来ました。

なお現在では「動物虐待に関する規定」に加えて、ペット業者に関する規制や、人間に危害を加える可能性のある特定動物に関する事項まで組み込まれていますし、

「動物がその命を終えるまで適切に飼養すること」という条文によって『終生飼養の努力義務』を飼い主に課したり、無計画な繁殖を防止するための『不妊去勢手術の努力義務』なども定めているです。

因みにペット業者に対しての規制は、この法律の中でも大変に厳しいものとなっており、開業に当たっては行政への届出を行わなければならい上、飼育施設の規模や設備状況などについても基準が設けられていますし、

近年では、「顧客に対して動物の現在の状態を直接見せる、または法律が定める方法で記録したデータを提供する」という義務まで、課せられているのです。

この様に正にペットの目線に立った動物愛護法ですが、この法律に違反すると一体どの様なペナルティーが待っているのでしょう。

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動物愛護法の主な罰則

では動物愛護法における罰則について解説して行きたいと思いますが、改めて前提として申し上げたいのは、この法律によって罰せられるのはあくまで「故意に虐待等を行った場合」であり、交通事故などで動物を傷付けた場合は適応対象外となる点です。

また、適応される動物の種類についても定めがあり、

  • 日本に居る全ての「牛・馬・豚・羊・山羊・犬・猫・鶏・アヒル」
  • 飼われている「ウサギ・ハト」
  • 所有者の居る「哺乳類・鳥類・爬虫類」

を愛護動物として保護の対象にしています。

よって、熱帯魚や金魚等の魚類、カエルなどの両生類、カブトムシなどの虫は、例え虐待されても動物愛護法ではなく、器物損壊罪にて裁かれることとなるのです。

ではこの前提を基に、具体的な罰則を見て行きましょう。

  • 動物を殺傷した場合  ・・・2年以下の懲役又は200万円以下の罰金
  • 餌を与えない、病気や怪我の放置等 ・・・100万円以下の罰金
  • 動物を捨てた場合         ・・・100万円以下の罰金

以上が動物を虐待等した場合の罰則となります。

なお、ペット業者に対しては

  • 未登録の業者等について   ・・・100万円以下の罰金
  • 行政の改善命令に従わない場合・・・50万円以下の罰金
  • 変更の届出の不提出等    ・・・30万円以下の罰金

等の罰則が定められています。

 

特定動物とは

そしてここからは、動物愛護法が定める「特定動物」に関する事項についての解説をして行きたいと思います。

冒頭にて「ペットは家族の一員である」とのお話しをさせて頂きましたが、人間の家族であっても他人に迷惑を掛ける者は存在しますよね。

これと同様に、いくら可愛いペットだとは言え、他人に危害を与える様な動物の飼育を簡単に認めることは出来ない訳です。

そこで法律はワニや毒蛇、大トカゲなど、飼育することで他人が被害を被る恐れのある動物を「特定動物」として指定し、これをペットとする者たちに一定の規制を設けることにしました。

なお具体的な規制の内容としては、「特定動物を飼育しようとする者は都道府県知事の許可を必要とする」というものになります。

「都道府県知事の許可」というと非常にハードルが低い様にも感じるかもしれませんが、許可を受けるには飼育に用いる「檻の強度の確認」「脱走防止対策の有無」

飼育動物への「マイクロチップの埋め込み」を義務付けるなど、かなり厳格な基準が設けられているのです。

また許可が下りた後も「定期的な点検を行う」など、安全確保には万全を期しており、こうした規制の根拠となっているのが、この動物愛護法ということになります。

因みに、特定動物の飼育に関する規定に触れた場合にも、当然ペナルティーは存在しており、許可なく特定動物を飼育した場合や、不正な手段で許可を取得した者には6月以下の懲役又は100万円以下の罰金という、重い罪が課せられることとなるのです。

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動物愛護法まとめ

さてここまで、動物愛護法について解説を行って参りました。

人間の大切な隣人である動物たちに、我が国の法律が手厚い保護を与えていることをご理解頂けたことと思います。

また動物愛護法は動物を守るだけではなく、無責任な飼い主や、害を及ぼす動物を飼育する者たちに対しても規制を加えていますから、生き物を育てる側の責任を明確にした法令とも呼ぶことが出来るでしょう。

なお、前項でお話した特定動物と似た言葉で、「特定外来生物」というものも存在しています。

少々似た響きのこれらのワードではありますが、その意味は大きく異なるものとなっており、特定外来生物は我が国の生態系に深刻な被害をもたらす害獣を指す言葉となりますから、

これらの生物については飼育はもちろん、野に放つ行為も一切禁止です。(カミツキガメ、オオヒキガエル、アメリカナマズ等)

因みに、違反行為を行った者は外来種被害防止法違反となり、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(法人については1億円の罰金)という非常に重い罪に問われることとなりますから、是非ご注意下さい。

動物愛護法は「例え相手が動物であっても、生き物を扱う以上、人間もそれなりの責任を負わねばならない」という、人類が果たすべき責任を代弁する法律であるのかもしれません。

ではこれにて、「動物愛護法について解説致します!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

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