学校でのトラブル

 

子供たちが多くの時間を費やす場所と言えば、学校ですよね。

一言で学校と言って、小学校に中学校、高校・大学と様々な種類が存在しますし、子供たちが集まるという意味では幼稚園などもその一部と考えることも出来るでしょう。

また、学生たちの本分といえば勉強ということになりますが、家庭では経験出来ない集団生活に身を置き、クラブ活動などを通じて多くの友人や先輩後輩と接することは、子供の発育にとって非常に重要であることは、今更お話するまでもないはずです。

しかしながら、子供たちは大人から見ればまだまだ未熟な存在であることは明らかですし、監督者である先生方の目が全てに行き届いている訳ではないこともまた事実。

新聞やネットのニュースなどを見れば、イジメや生徒同士の障害事件に加え、教員の不祥事などもよく目に致しますから、親御さんとしては「学校生活に不安を感じている」という方も少なくないでしょう。

そこで本日は「学校でのトラブルに関する法律知識!」と題して、法律という側面から見た学校生活で発生し得る揉め事の解決方法を解説して行きたいと思います。

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子供同士のトラブル

学校で最も多く発生するトラブルと言えば、子供同士のケンカや、遊びの中で発生する事故などにより、怪我を負ってしまうケースでしょう。

もちろん、ケガの原因がイジメなどによる場合には、また違った考え方をしなければならない点もありますが、今回は純粋な事故やケンカについて検討してみることにします。(イジメ問題については後述致します)

もちろん度合にもよるでしょうが、子供が大きなケガを負わされたなれば、黙っていられないのが親心です。

そしてこうした際には「ケガを負わせた加害者側に何らかの制裁を加えてやりたい」と考えるものですが、法律的にはどんな手続きが可能となるのでしょうか。

我が国でケガを負わせた相手方に対して追求できる責任は、「刑事上の責任」と「民事上の責任」の二種となります。

刑事上の責任については、年齢を問わずに追及が可能となり、検事が起訴を決めれば「傷害罪」などの罪に問われることになるでしょう。(但し、少年法の定めに従って処分されることになります。詳細は「非行少年・少女の法律問答をお届け!」の記事をご参照下さい)

一方民事上の責任については、「加害者が被害者にケガを負わせたという不法行為」に関して、損害賠償を求めるという方法によって責任の追及がなされます。

ただここで問題となるのが、ケガをさせた相手の年齢です。

民事訴訟の場合、自身が行った不法行為について自ら責任を負うのは、「責任能力が必要である」と解されています。

責任能力が生じる年齢は、起こした事件の性質や個人の発育の度合いにもよりますが、概ね12~13歳となりますから、小学校高学年以上の子供が起こした事件は、その子供自身が責任を負うことになるのです。

これに対して、小学校中学年以下の責任能力の無い子供の民事上の責任は、監督責任のある親権者が負うことになります。

こんなお話をすると「中学生に責任を追及しても、賠償を受けられないのでは・・・」とお思いになられるかもしれませんが、通常の親御さんならまず間違いなく子供の代わりに賠償義務を負ってくれるはずですし、心配でしたら親から賠償を負う念書などを取っておくのもお勧めです。

なお、例え加害者が責任能力ありとの判定を受けても、普段から乱暴な子供を親が注意していなかった場合などには、親への監督責任が問われる可能性もあるでしょう。

因みに、ケンカなどで相手にケガをさせられた場合には、ここまでお話した内容をそのままご参考にして頂けることと思いますが、これが事故となると少し話が変わって来ます。

遊んでいて、子供同士が衝突した場合等なら、子供同士の過失割合が考慮された上で、損害賠償義務が生じるかの議論になって来るはずです。

また、野球などをしていて、通常のプレイ中に打球が当たってケガをしたなんて場合(バットを投げる等の特別危険な行為がない場合)には、加害者に過失が認められず、損害賠償が出来ないケースも多いことでしょう。

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教師や学校の責任について

子供同士でケガをさせた、傷を負わされたというパターンのお話は前項でさせて頂きましたが、こうした事件が学校内で発生した訳ですから、教師や学校側にも責任を追及出来る場合があります。

その根拠としては、教師には子供たちが安全に学校生活を送れるように指導、監視を行う「監督責任」がありますし、教師を雇っている学校には使用者である教師に対して「使用者責任」が認められるからです。

よってケンカをしている生徒の姿に気付きながら、見て見ぬフリをしたり、普段から暴力を振う生徒を野放しにしている場合には、被害者側から監督責任や使用者責任を問われることとなり、損害賠償義務を負わされることとなります。

なお、私立の学校の場合は先生と学校両方に対して訴えを起こすことが可能ですが、公立の学校の場合、教師は公務員として扱われることとなりますから、責任追及は国や公共団体のみが対象です。

また前項でもお話した通り、スポーツなどをしていた際のケガについては、通常の競技内容や練習方法を逸脱しない限り、加害者の不法行為責任が認められないのと同様に、教師の監督責任を問うのも困難となりますから、クラブ活動や体育の授業中に発生した事故に関しては、余程の指導上の落ち度がない限り、追及は困難であると考えられます。

但し、ケガの原因が教師の体罰などであった場合には、話はガラリと変わって来ます。

実は教師には、一定の「懲戒権」が認められてはいるのですが、これはあくまで生徒を廊下に立たせておいたり、居残り勉強をさせるといった程度の権限となり、ピンタやパンチなどは当然認められていません。

昔の先生の中には、平気で子供にゲンコツを喰らわす方もおられましたが、その当時の法律でもこれは完全にアウトな行為です。

しかしながら、「親たちも子供のためにある程度の体罰は必要」と考えていましたし、「教師自身も子供のためを想っての体罰であり、決してケガをさせるようなやり方はしなかった」ため、問題になるケースが極端に少なかったというのが実情の模様。

ただ近年では、こうした親と教師、そして子供との信頼関係が崩壊する様な事件も多く起こっていますから、場合によっては法的手段に訴えるべきケースもあるでしょう。

もちろん度を越した暴力行為については刑事罰の対象となりますし、子供がケガを負ったり、精神的なダメージを負った場合には、学校・教師共に損害賠償の義務を負います。(公立の場合は国や公共団体のみ)

但し、一定の体罰の度合いを超えない限りは、刑事告訴は不起訴処分、民事訴訟も敗訴となり、残りの学校生活を気まずい空気で過すという最悪の結末を迎える可能性もありますから、まずは先生と親が真摯に向き合ってみることも大切でしょう。

因みに学校の遊具や鉄棒などの故障等でケガをした場合には、民法717条の工作物責任などで比較的容易に賠償金を得ることが出来ます。

 

イジメに関する法律問答

そして最後にご紹介するのが、イジメに関する問題です。

イジメと聞くと、それだけでも「とんでもない悪事」というイメージを持たれると思いますが、日本の法律には「イジメ」だけを特別に取り締まったり、加害者に厳しい罰を与える法律は存在しません。

よって法的手続きでイジメを行った相手に報復するとなれば、ここまでご紹介した傷害罪などの刑事罰による方法か、子供が受けた損害について民事上の責任を追及するしか方法がないのです。

つまりイジメという行為を「受けたか否か」より、「イジメによりどんな損害を受けたか」のみが、重要視されることになります。

但し、近年イジメは重大な社会問題としてクローズアップされていますから、法律も徐々に整備が進んでいます。

そして特に大きな変化をもたらしたのが、2013年に施行された「いじめ防止対策推進法」であり、これまで不明確であったイジメの定義を具体的に示すと同時に、学校に対してはイジメ対策に全力で上げる義務を課したのです。

もちろん、これでイジメが無くなることはないでしょうが、「学校側に法律的な義務が課さられた」ことは大きな一歩と言えるでしょう。

これまで通り、親御さんは子供の変化を見逃さない様に努力する必要がありますが、イジメの兆候が見られた時には、学校に対して「いじめ防止対策推進法」を盾に徹底的な調査と対策を行うよう求めていくべきだと思います。

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学校でのトラブルまとめ

さてここまで、学校を舞台に発生する様々なトラブルに関して、法律でどんな対処が行えるかという角度にて解説を行って参りました。

もちろん学校は様々な個性が集まる場所であり、未成熟な子供たちが集団生活を学ぶ施設でもありますから、何から何まで法律で対処して行くというのは必ずしも正しい方法とは言えません。

但し、時折耳に飛び込んで来る学校内で発生した陰惨な事件のニュースを聞くと、どうしてもっと早く法律的な手続きが執れなかったのだろうと思ってしまうのも確かです。

よって子供を学校に通わせる親御さん方には、護身用として学校に関する法律知識を身に付けて頂き、時にはその法律という剣をチラつかせたり、また時には振って頂くことで、子供たちの楽しい学校生活を守り抜いて頂ければと思っております。

楽しく、決して戻って来ない学生時代をよりエンジョイするために、本記事をご活用頂ければ幸いです。

ではこれにて「学校でのトラブルに関する法律知識!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

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