ストーカー対策

 

一昔前までは考えられなかった様な犯罪が、平気で発生するのが現代の我が国です。

ネットを利用しての詐欺や、小学生による凶行などのニュースを聞くと、何やら日本の将来が非常に不安に思えて来てしまいます。

そんな現在ならではの犯罪の代表格とも言えるのが、ストーカー犯罪なのではないでしょうか。

まともに話したことも無い相手をつけ回したり、過去の交際相手に復縁を迫った揚句に、親しかった頃に撮影した写真をばら撒くなど、その手口は正に救いようの無いものばかりです。

また、こうした事件が発生していることは知っていても、「もし自分にストーカー被害に遭遇した場合に一体何をすればよいのか」については、あまり考えておられない方も多いと聞きます。

そこで本日は「ストーカー対策は法律を上手に活用しよう!」と題して、法律という側面から考えたストーカー対策の手段を解説してみたいと思います。

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ストーカー規制法

法律によるストーカー被害の対策と聞いて、まず頭を過るのが「ストーカー規制法」という法律の名称なのではないでしょうか。

この法律は、平成11年に埼玉県桶川市にて発生した、元交際相手の男性らによる女子大生殺害事件を受けて施行された法律となり、正式名称を「ストーカー行為等の規制等に関する法律」といいます。

実はこの法律が出来る以前は、ストーカーによって被害を受けた場合も、刑法や民法で規定される脅迫罪や傷害罪、そして不法行為による損害賠償請求といった方法でしか加害者に対抗する手段がありませんでした。

また当時の法律では、相手につきまとって脅威を与える「ストーカー行為」自体に関する定義も曖昧で、例え警察に訴え出たとしても「単なる痴情のもつれ」として処理されてしまうことも多かったのです。

しかしながら、冒頭でご紹介した「桶川ストーカー殺人事件」の発生後は、こうした法律上の問題点が社会的にもクローズアップされることとなり、横行するストーカー行為に対処するべくこの法律が制定されることとなりました。

 

ストーカー行為とは

このストーカー規制法の第二条においては、法律上「ストーカー行為」と判断される行為の定義がなされています。

まず行為の動機(目的)としては、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」とありますから、一方的な片思いや、分かれた相手に対して復縁を求めるケースなども、ここに含まれることとなるでしょう。

また、行われる行為についても、

  • 待ち伏せや尾行
  • 相手に監視していることを告げる行為
  • 交際を求めたり、話し合いを求める行為
  • 脅したり、乱暴な言葉を掛けること
  • メール等の連続送信や、無言電話
  • 動物の死骸や汚物を送り付ける行為
  • 名誉を棄損する行為
  • 性的な嫌がらせ

といった8種類の行動を具体的に挙げているのが特色です。

よってこの法律によれば、「恋愛感情なのももつれから、上記8種の行動を反復継続して行った場合は、ストーカーとして処罰する」ということになります。

 

ストーカー行為への罰則

では、実際にストーカー行為が行われた場合には、その相手はどんな罰を受けることになるのでしょう。

ストーカー行為を受けた者がまず行うべきは「警察への通報」であり、これを受けた警察が「間違いなくストーカーである」と判断した場合には、加害者に対して『警告』を行うことが出来ます。

なお警察が警告を発する以前であっても、ストーカー行為自体が犯罪ですから、これに違反した場合は1年以下の懲役または、100万円以下の罰金に処せられることとなるでしょう。(平成29年3月改正、改正以前は6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金で、被害者が告訴する必要があった【親告罪】)

また、警告などを行っても行為が続く場合には、公安員会が事情を聞いた上で加害者に対して禁止命令を発することが出来ます。(緊急を要する場合には警察署長も禁止命令の発布が可能)

そして禁止命令に背いた場合には、2年以下の懲役または、200万円以下の罰金という、重い罰を課せられることになるのです。

 

ストーカー規制法の問題点

この様にストーカー規制では、つきまとい等の行為を行う者には、かなり厳しいペナルティーを用意しています。

また施行以降も改正が加えらえており、罰則の強化や、禁止命令がより素早く出すための工夫が凝らされていますから、国や警察も本腰を入れてストーカー対策に乗り出していることが窺えるはずです。

しかしながら、新聞やニュースを見ていると、こうした厳しい法律がありながらも、陰惨なストーカー事件が後を絶たないのもまた事実です。

では、何故ストーカー行為の効果的な取り締まりが行えないのかを考えて見ましょう。

まず言えるのは、「ストーカー行為とは」の項でもお話した通り、対象の行為が『反復・継続』されないと、犯罪と認定されない点が挙げられます。

確かに一度だけで収まる問題であれば、ここまで重い罪を課する必要は無いのでしょうが、相手が凶行に出るまでのステップが必ずしも「長い期間を置いてくれる」とは限りませんよね。

また、もう一つのポイントとしては、警察もストーカー犯罪の取り締まりに力を入れてはいるものの、やはり「誤認逮捕」などは避けたいと考えていることも、対応が遅れる原因となっている模様。

単なる痴話喧嘩なのにも係らず、自称被害者の言葉を信じて、相手方をストーカー扱いすれば、後々どんなクレームが入るか判りませんから、慎重になる警察の気持ちも理解出来ます。

そして最後のポイントが、ストーカー事件にするには「恋愛感情のもつれ」であることが要件となっている点です。

相手が交際などを求めるのではなく、「お金を返せ」、「謝罪しろ」などの場合は、ストーカー規制法の対象外となる可能性もあります。

ストーカー規制法は確かに画期的な法律ではありますが、やはり完全なストーカー対策とはなっていないことが、ご理解頂けるはずです。

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弁護士を活用したストーカー対策

ストーカー規制法の概要と、その問題点がご理解頂けたところで、管理人がおすすめするストーカー対策の方法をご紹介致しましょう。

その方法とは、例え問題が深刻化していなくとも、まずは弁護士に依頼を掛けてしまうという方法です。

こんなお話をすると「弁護士費用は高いのでしょう?」とか、「助けてくれる弁護士の当てがない」なんてご意見も聞えて来そうですが、例えそうだとしても『身の安全には替えられない』のが現実でしょう。

そこで以下では、例え費用が発生しても弁護士に依頼を行うべき理由をご説明して参ります。(弁護士の選び方や報酬については、過去記事「弁護士の選び方を解説致します!」をご参照下さい)

 

ストーカー規制法の穴は弁護士の腕が埋める

ストーカー規制法にて、相手をストーカーとして罰するには、所定の行為を反復・継続することが要件となることは申し上げました。

そして「繰り返しが無い」ことが警察の初動を鈍らせている訳ですが、弁護士が介入すれば別の罪で、ストーカーを追い詰めることが出来る場合もあります。

冒頭でもお話した通り、ストーカー規制法施行以前には、様々な法律を駆使して被害者を救済していましたが、この方法は今なお有効な手段です。

刑法には、脅迫罪、強要罪、恐喝罪、不退去罪、侮辱罪、名誉棄損等、様々な罪が規定されていますから、法律のプロフェッショナルである弁護士ならば、ストーカー規制法の要件に当てはまらない相手の行為でも告訴することが出来る場合があります。

 

法律の専門家による冷静な判断が可能

ストーカーに関する陰惨なニュースを日々耳にする現在では、相手の些細な行動でも「必要以上に恐怖を感じてしまうケース」は良くあるものです。

また反対に、既に被害に直結しそうな相手の行動の兆候が見えているのに、『あの人はそんなことはしない』など、「親しさ故に判断が鈍る場合」も少なくありません。

こうした状況で、多くのストーカー事例を経験している法律の専門家のアドバイスを聞くことが出来るのは、非常にメリットがあるはずです。

危険な兆候を専門家に判断してもらい、必要な時に必要な措置が行えれば、被害を最小限に止めることが出来るでしょう。

 

警察の動きを鼓舞

また、実際に警察に被害届を出す場合でも、弁護士がこれを行えば警察の対応もかなり変わって来るはずです。

弁護士を雇ってでもストーカー対策に乗り出している被害者を見れば、警察の心証は大きく変わるというのもありますが、既に発生している被害状況について、有効な証拠を提出し、法的に理論立てて説明が出来れば、警察も動きやすいのは間違いありません。

警察は大きな権力を持っているだけに、権利の濫用には非常に過敏になりがちですから、こうした相手の心理も汲んで上げる必要があるでしょう。

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ストーカー対策まとめ

さてここまで、法律を用いることで可能となるストーカー対策について解説して参りました。

相手が知り合いだったり、以前に交際していた、結婚していた相手となると、ついつい脇が甘くなってしまいがちですが、そこは心を鬼にして断固たる対応を行うべきです。

また身に危険を感じると、友人や恋人などに「身辺の警護」や、「相手に脅しをかける」といった行動を依頼する方も多いようですが、これは反対に相手を刺激してしまう可能性や、間に入った人間をトラブルに巻き込んでしまうこともありますから、なるべく避けるのが賢明でしょう。

なお、いざという時のために武器などを用意する行動は、実際に相手が暴力を振って来た場合でも、正当防衛が認められない可能性がありますから、こちらも充分に注意したいところです。

周囲の人間にストーカー化の兆候が見られたら、まずは相手を刺激せず、なるべく距離を取るようにし、それでも改善が見られない時には、迷いなく弁護士に依頼を掛けるのがおすすめの対処法となります。

身の安全と、楽しい暮らしを守るためには、是非冷静なる判断を行って頂きたいものです。

ではこれにて、「ストーカー対策は法律を上手に活用しよう!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

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