出前が遅い時

 

寒風吹きすさぶ真冬や、不可指数が爆発する真夏などは、食事をするために外出することさえ、面倒に思えてしまうものですよね。

この様な場面で重宝するものと言えば、作り立ての料理を自宅にまで運んでくれるデリバリーサービスとなりますが、実際に出前を取った際には様々なトラブルに直面することもありますよね。

そこで本日は「出前が遅い時はキャンセル可能?デリバリーに関する法律問答をお届け!」と題して、店屋物をオーダーした際に生じるトラブルの対処法等について解説をして行きたいと思います。

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デリバリーでありがちなトラブル

では早速、デリバリーに関する法律問答をお届けしたいと思いますが、本記事では発生し得るトラブルごとに解説を加えていくことに致しましょう。

出前が遅い時

さて、出前を頼んだ際に最も多く発生するトラブルと言えば、なかなか商品が届かないというパターンなのではないでしょうか。

ピザの宅配などでは一時期、「30分以内に届かなければ値引きします」なんて宣言しているお店もありましたが、近年ではあまりこうしたサービスは耳にしませんよね。

また発注から30分から1時間くらいまでなら、「お店が混んでいるのかな?」なんて思う程度かもしれませんが、これが2時間、3時間なんてことになれば、頭に血が上ってしまう方も多いはずです。

さて、ここでまず前提として抑えておいて頂きたいのが、法律上、出前は一種の契約行為とみなされるという点になります。

お客さんが注文を入れることで、お店は食べ物を提供する義務を負い、オーダーした側はその対価を支払わなければなりません。

そして、この一連の契約の流れの中で問題が発生すれば、それは契約上のトラブルとして扱われることになる訳です。

では、注文を行ったにも係らず、何時まで待っても品物が届かない状況で、注文者がどんなことが出来るかと言えば、それは債務不履行による契約の解除(食べ物を届ける約束を守らないことを理由にした、注文のキャンセル)ということになるでしょう。

こんなお話をすると、「えっ?値段を下げさせたり、ただにさせたりは出来ないの?」なんてお声も聞えて来そうですが、値下げ等の要求は「逆にお客側が支払い義務を果たさない行為(債務不履行)と判断されてしまうこともありますし、

強引にこれを主張した場合には威力業務妨害や脅迫など別の問題に発展してしまう可能性もあるので、これは避ける方が得策かと思います。

なお民法上、相手がなかなか約束を守らない場合には、「催告(催促・履行をうながす行為)」をした上で、契約を解除するのが通常(民法541条)ですが、出前の遅延については民法542条の『催告なしの契約解除』が可能になるはずです。

民法542条とは「定期行為の履行遅滞による解除権」について定めた条項であり、簡単に言えば『この時に約束を実行してもらわないと、全く意味のない契約については、催告なしに契約が解除出来る』という内容になります。

つまり、バレンタインデーにチョコを注文していたのに、翌日の2月15日に品物が届いた場合には、何の予告もなく注文をキャンセル出来るという理屈です。

但し、昼食用に出前を12時にオーダーし、品物の到着が1時半になったからといって、この542条の規定を振りかざすのは少々乱暴な様にも思えます。(2時、3時になったなら話は別ですが)

よって、オーダーに際には「昼休みが1時までだから、12時30分までには届けてね!」といった条件を付けておくのがベターでしょう。

注文と異なる商品が届いた時

続いては、出前が届いたのに、その中身が注文通りではない場合についての解説となります。

一度の配達で何件もの出前をこなすデリバリーサービスなどでは、届ける順番を間違えてしまうケースも多い様ですし、時には単純なオーダーミスによって頼んだものとは別の商品が届けられるというドラブルも少なくありません。

そして、こうした配達のミスについては、法律上「指示通りの商品を提供する、お店側の義務が果たせていない(債務不履行)」と判断されることになるでしょう。

よってお客側としては、誤って届いた品物を返品し、注文通りの商品を改めて提供してもらえる権利を有することになります。

但し、商品が違うことに気が付かずに、これを食べてしまった際には、お店側のミスを許した(容認した)ことになりますから、交換依頼をすることは出来なくなるでしょう。

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外に出しておいた食器の破損・盗難

お寿司や釜飯、ラーメンなどの出前を依頼した際には、食べ終わった食器を玄関先や、マンションのエントランスなどに置いておき、後日お店側が回収していくパターンがあるものです。

しかしながら、こうして外に置かれた食器や寿司桶などが、何者かに破壊されたり、盗まれた場合には、どんなことが起きるのでしょうか。

もちろん、お店側もお客あっての商売ですから「食器を弁償して欲しい!」なんてことを言って来るケースは少ないでしょうが、高級寿司店などで使われている寿司桶などは非常に高価な場合もありますから、やはり注意が必要です。

なお法律上、出前に使用された食器は、お店側がお客に貸出したものと判断されますから、お客はこの借り物に対して管理義務を負うものと解釈されます。

よって、食器が盗まれたり、壊されたりした場合には、お店側の損失を補てんする責任があるのです。

但し、この出前による食器の返却も「事業者 対 個人消費者」間の問題であり、消費者保護法の適応範囲となりますから、『食器が盗まれたら3万円の違約金』といった事業者側に有利な要求は認められないでしょう。

因みに弁償する金額については、対象の食器の時価というのが妥当な線かと思いますので、例え新品で3万円の寿司桶でも、盗まれた時点でどれくらいの価値があったかが争点となるはずです。

嫌がらせデリバリー

そして、出前に関するトラブルで最も厄介なのが、「嫌がらで商品が届いてしまう」というパターンです。

深夜に玄関チャイムが鳴り、ピザが何十枚も届くなんてケースは、想像しただけでゾッとしてしまうものですが、法律上は当然、こうしたイタズラデリバリーに対して、商品を受け取る義務も、お金を支払う義務もありません。

よって、お店の方には申し訳ありませんが、「自分は注文していない」ときっぱり告げて、商品を持ち帰ってもらいましょう。

なお、こうした被害を受けた際には「警察に届け出よう」と思う方も多いと思いますが、実はこうしたイタズラデリバリーをお客の側から訴え出るのは、少々難しいと考えられます。

一方、偽りの無駄な注文を受けたデリバリー店については、業務妨害で犯人を罰してもらうことが可能ですから、お店に連絡を入れて、お客の立場からも警察に被害を申告してもらえる様にお願いするべきです。

因みにこうしたイタズラデリバリーは、闇金業者などが債務者への嫌がらせとしてよく利用する手段となりますから、

こうした被害を受けた場合には、家人の中に金銭のトラブルに巻き込まれている者がいないかという点にも、注意を払う必要があるでしょう。

その他のトラブル

そして最後に解説するのが「商品への異物の混入」や「お釣りの間違い」など、その他の些細なトラブルについての解説となります。

まず異物の混入については、お店側の債務不履行を理由(欠陥のある商品を提供した)に、新たな商品との交換を行わせることが出来るでしょう。

また、混入していたもので健康被害が出た場合には、損害賠償の請求(石が混入しており、歯が欠けた場合の治療費等)も可能となります。(但し、被害と異物混入との因果巻毛を立証する必要あり)

一方、お釣りの間違いなどに対しては、多く支払いをした場合には、当然、差額を返金する義務がお店側には発生するでしょう。

反対に、多くお釣りを受け取ってしまい、これにお客側が気付いていた場合には、お客の方に詐欺罪が成立する可能性もありますから、この点については充分にご注意頂ければと思います。

なお、ここで取り上げていないトラブルについては、別記事「飲食店のトラブルに関する法律問答をお届け!」でご説明した内容をご参考にして頂けるかと思いますので、こちらも是非合わせてご覧頂ければ幸いです。

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出前の法律問答まとめ

さてここまで、デリバリーサービスで発生し得るトラブルについての対処法をご紹介して参りました。

自宅に居ながら、外食気分が味わえる出前は非常に便利なものですが、中には悪質な業者も紛れ込んでいるようですから、揉め事になった際には本記事を参考にして頂ければと思います。

ではこれにて、「出前が遅い時はキャンセル可能?デリバリーに関する法律問答をお届け!」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

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