クレジットカードの法律

 

現代人の生活において、もはや無くてはならないのがクレジットカードですよね。

クレジットカードさえ持っていれば、旅行や買い物に行く際にも、いちいち現金を持ち歩く必要はありませんし、

公共料金の支払いなどもクレジットカード払いにしておけば、支払いの度にポイントが付くことになりますから、「ポイントで獲得出来る品物を楽しみにしている!」なんて方も少なくないはずです。

また自動車に乗る方にとっては、ETCカードは最早手放せないものとなっているはずですから、「今の世の中はクレジットカード無しには生きていけない社会」と言っても決して過言ではないでしょう。

但し、クレジットカードはバンバン利用しているけど、その「仕組み」や「カードに係る法律知識」は皆無なんて方も多いと聞きますから、これは少々問題があるかもしれません。

そこで本日は「クレジットカードの法律知識をお届け!」と題して、カード払いに関する疑問点を解決して行きたいと思います。

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そもそもクレジットカードとは?

ではまず最初に、「そもそもクレジットカードで買い物をするということが、どんな行為であるか」という点から解説を始めさせて頂きたいと思います。

クレジットカードでお買い物をすると、お店の人がカードをリーダーに通して、伝票にサインをするか、暗証番号を端末で入力するだけで支払いは終了となりますよね。

そして一括払いであれば、翌月が翌々月に指定口座から購入商品の代金が引き落とされ、分割払いならば一定額が支払い回数に分けて引き落とされて行くことになるでしょう。

実はこの売買の方法、法律的に言えば割賦販売の一種に分類されるものとなります。(但し、一回払いであり、且つ2か月未満で引き落としが完了するものは対象外)

割賦販売と言えば、商品を先に受け取って、販売店に月賦で代金を支払って行くイメージですが、

現在社会ではこうしたオーソドックスな割賦販売以外にも数種類の売買方法が編み出されており、クレジットカード決済の正式名称は割賦販売の一種となる「包括信用購入あっせん」と呼ばれるものになるのです。

因みに「クレジットカード決済の仕組み」としては、カードを提示したことによって、カード会社があなたの代わりに代金全額の支払いを完了。

これと同時に、あなたとカード会社の間では、品物に対しての割賦販売の契約が成立することになりますから、その契約に則って月々の支払が開始されるというシステムになっているのです。

なお割賦販売に関しては、割賦販売法という法律が定められており、カード会社などもこの法律に則って営業を行うことになっています。

 

分割払いで滞納が発生したらどうなる?

さて、クレジットカードの基礎知識をご理解頂けたところで、具体的な疑問点にお答えして行きましょう。

まず気になるのが、「分割払いをしている最中に返済が滞ってしまったらどうなるか?」という疑問です。

基本的には、クレジットカード会社との間に締結した契約に違反したこととなりますから、それなりのペナルティーは覚悟しなければなりません。

但し、先程もご説明した割賦販売法では手厚い消費者保護の条項がありますから、突然「残りの支払額を即日払え!」なんてことにはならないのです。

まずカード会社は、20日以上期間を用意した上で支払いの催促(催告)をしなければなりません。

そしてこの期間が経過しても、まだ支払いが無い場合に限って、契約の解除(一括払い)等のペナルティーを発動することが出来るのです。

また、あまり知られてはいませんが、カードの分割払いでは、品物こそ購入者の手元に来ているものの、支払いが終わるまでの所有権はカード会社が持ったままの状態となっています。

よって滞納が発生の場合には、品物の返還を迫られることもありますから、支払いの済んでいない購入品の転売などは絶対に行うべきではありません。

なお、実務的な滞納後の流れを申し上げれば、殆どの会社で滞納が発生した時点で、カードの利用が不能となった上で、督促が開始されます。

そして20日目以降から本格的な対処が開始され、場合によっては訴訟などを経て、強制執行という最悪の結末を迎える可能性もありますから、滞納には充分にご注意頂きたいところです。

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カードで買った商品を返品したらどうなる?

では続いて、「分割払いで買った品物を返品した場合」についてお話してみましょう。

「これぞ!」と思って買った商品が不良品であったり、通信販売で購入したものの届いてみたら希望の商品ではなかった場合などには、当然返品という流れになりますよね。

また購入する商品によっては、8日以内のクリーングオフが可能なものもありますから、返品を行う機会は益々増えて来るはずです。

ただ、こうしたケースで「分割払い」を選択していると、返品後の支払がどうなってしまうのか不安になってしまいますよね。

この件に関して法律は、返品がなされた際にはカード会社に対しても、支払いを拒むことが出来るというルールを定めています。

但し、法律は「4万円未満の商品については、カード会社に対して抗弁出来ない(リボ払いの場合は3万8000円未満)」とも規定していますから、返品した商品の金額によっては支払いを拒めないので注意が必要でしょう。

この様にお話すると「4万円未満は認められないのは厳し過ぎるのでは?」というお声も聞えて来そうですが、法律の解釈では「商品の売買契約」と、「カード会社との分割払いの契約」は全く別物と判断され、本来なら支払いを拒めないとの判断をしているのです。

しかしそれでは消費者が可哀想過ぎるということで、特別に4万円以上の場合には抗弁権を認めているというのが実情ですから、これに対しては文句の付けるのはお門違いということになってしまうでしょう。

 

クレジットカードを悪用されてしまったら?

そして皆様の関心が最も高いのが、クレジットカードを悪用されてしまった場合についてなのではないでしょうか。

近年ではクレジットカードが盗まれたり、スキミング被害などに遭ったことにより、身に覚えのない多額の請求が降り懸かって来ることも珍しくありません。

この様なケースにおいては、本人に支払い義務が無いことを皆様もご存じのことと思いますが、こうした救済がなされるのは契約時に強制加入させられる盗難保険のおかげとなります。

こちらの保険では、紛失や盗難の届出がなされた日から遡って約2ヶ月間の支払いが補償対象となっていますから、例え不正使用が行われたとしても、カードの契約者に責任が及ぶことはないのです。

但し、盗難保険も保険である以上は免責事項があり、カードの保管状況に大きな過失があるケースや、紛失した旨の届出を怠った場合、盗難保険の利用が目的で盗まれたフリをした際などには、支払い義務を逃れることが出来ません。

また他人にカードを貸し出して、勝手に買い物をされてしまったケースにおいては、盗難保険の適用がないばかりか、カード契約の違反事項ともなりますから、違約金等の請求を受ける可能性もあるでしょう。

さてここで気になるのが、自分の家族などにカードを貸し出した場合です。

親が子供やカードを貸し出したり、夫が妻にカードを渡しておくというパターンはしばしば目に致しますが、こうした場合の扱いはどうなるのでしょう。

実は家族にカードを渡し、勝手に買い物をされてしまった場合についても、盗難保険の適応はありません。

しかしながら、カードを渡した子供が未成年であり、親に承諾なく買い物を行ったケースでは、その取引自体を無効として、カードの支払いを拒むことが出来ることもあります。

ただ、この取消しは割賦販売法で定められている規定ではなく、民法における「制限行為能力者(未成年者)の取消し」となりますから、

子供が成人していると嘘を付いていた場合や、販売店が親に対して一ヶ月以上の期間を設けて追認(解除する意思がないかの確認)を行っていた場合には、支払いを拒むことは出来ません。(未成年者の買い物については別記事「親と子供の法律知識をお届け!」をご参照下さい)

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クレジットカードの法律知識まとめ

さてここまで、クレジットカードに係る法律問答をお送りして参りました。

クレジット払いは非常に便利なものですし、今や生活に無くてはならないものとなってはいますが、やはり注意すべき点も多いことをご理解頂けたことと思います。

また、一括払いであるならともかく、分割払いの場合にはしっかりと金利も付きますから、カード払いも完全な「借金である」ということを自覚した上で、お買い物をなさって下さい。

特に月々の支払額を一定にした「リボ払い(リボルディング払い)」の場合には、いつの間にか未払いの元金がガッツリと溜まってしまい、借金整理を余儀なくされるケースも少なくありません。

「便利なものには、必ずリスクが存在する」という意識を常に持ちながら、日々の生活を送って頂ければと思います。

ではこれにて、「クレジットカードの法律知識をお届け!」の記事を締め括らせて頂きます。

 

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