借金問題を解決

 

人間が日々の暮らしを送っていく上で、「欠かせない」とされるものは数多くあります。

「衣食住」という言葉が示す通り、衣類や食べる物、そして住む場所が、生活の基本となるのは間違いありませんが、こうした物を手に入れるのに必要不可欠なのが「お金」ということになるでしょう。

そして、自分が稼いだお金の範囲内で暮らしを続けていく分には、当然ながら問題は生じないのでしょうが、これが「借金などを繰り返しながら」となってしまうと、時にはとんでもない窮地に追い込まれてしまうものです。

そこで本日は「借金問題を解決したい人の法律知識」と題して、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産といった借金整理の方法や法的手続きの概要と、そのメリット・デメリットについて解説させて頂きたいと思います。

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任意整理

「借金の整理」なんて話題になると、真っ先に語られるのが『任意整理』なる手段です。

この任意整理なるワードは、弁護士事務所のCM等で耳にすることも多いですから、「法的な手続きの一つ」とお考えの方も多いと思いますが、実は単なる『債権者との示談』に過ぎません。

つまり、債権者と話し合って「溜まった利息分の支払い」や「将来発生する予定の金利」を免除してもらったり、月々の支払金額を減らしてもらう交渉を行うだけなのです。

この様にお話しすると、「自分でも出来るの?」とも思ってしまいそうですが、債権者である金融業者はプロ中のプロですから、素人が「借金をまけて欲しい!」なんてお願いするだけで、話し合いがまとまる訳がありません。

よって、この任意整理を行うには、やはり弁護士や司法書士といったプロの法律家に依頼を行うのがベストな方法となります。

※任意整理の詳細については別記事「任意整理とは?メリットやデメリットについて解説!」をご参照下さい。

 

任意整理のメリット

任意整理の利点してまず挙げられるのが、あくまでも示談であり、法律行為ではないため、手続きに要する時間が短く、費用も安く済むという点でしょう。

また破産などとは異なり、任意整理が行われたことが官報(官公庁が発行する冊子)などに掲載されることはありませんので、周囲にバレずに処理を進められるのもメリットとなります。

なお、あくまでも個々の債権者との直接交渉ですから、金融業者と親族の両方に借金がある場合でも、業者のみを対象に秘密裡に任意整理を進めることが可能です。

因みに、借金の中にグレイゾーン金利での借り入れ(過払い金)があれば、交渉の中で違法に払った金利分を借金と相殺することや、利息分を取り返すことも出来るでしょう。

※グレイゾーン金利や過払い金についての詳細は、別記事「過払い金請求とは?という疑問にお答えします!」をご参照下さい。

 

任意整理のデメリット

続いては、任意整理の問題点をお話して行きましょう。

まず第一に問題となるのは、例え弁護士等に依頼したとしても、あくまで債権者との示談となるので、任意整理に応じてもらえない場合があるという点です。

それどころか反対に、債権者から「借金の返済を求めての訴訟」を起こされる可能性があるばかりか、連帯保証人が付いている借入れでは、保証人への督促が始まってしまう場合もあります。

そして更には、どんなに上手く交渉しても借金が無くなる訳ではありませんので、あまりに借入れが膨らんでいる場合には、話し合いが成立しても再び返済が滞ってしまう可能性が出て来るのです。

因みに、メリットの部分で官報に掲載されることは無いとお話しましたが、金融会社が共有する信用照会には任意整理でも反映されてしまうため、所謂ブラックリスト入りは避けることが出来ません。

 

特定調停

特定調停は、平成12年に誕生した比較的新しい調停制度の一種となります。

調停に関しての詳細は、過去記事「調停とは?という疑問にお答えします!」にてご紹介していますが、簡単に言えば裁判官や調停委員立会いの下、揉め事の当事者同士が話し合いを行う制度です。(裁判とは別物)

そしてこの調停制度、必ずしも弁護士に依頼せずとも自分で申し立てが行える上、話し合いがまとまれば調停調書という文書に合意内容が記録され、

以降は調書の内容に判決と同等の効力が認められますから、手軽で有効な紛争処理方法として重宝されて来ました。

そんな調停制度において、「借金問題解決専門の場」として新たに設けられたのが、この特定調停となる訳です。

※特定調停の詳細については別記事「特定調停とは?という疑問にお答えします!」をご参照下さい。

 

特定調停のメリット

特定調停の利点として最初に挙げられるのが、手続きの簡単さということになるでしょう。

概要の部分でもお話した通り、調停は弁護士が介入しなくても手続きを進めることが可能ですし、調停委員は借金問題のスペシャリスト揃いとなりますから、知識が無くても不利な条件で合意を結ばされる心配はありません。

また、調停は裁判所での開催となりますが、その開催日数は最小限に絞られますから、申立人の時間的負担も少なく、経費も安価に抑えられるでしょう。

因みに特定調停独自のルールによって、債権者の取り立ては一旦中断させられることとなりますし、差押えなどの法律行為も出来なくなりますから、これは債務者にとって非常に有難いですよね。

なお実際の話合いにおいては、借金の中に過払い金があれば、元金から相殺を行うことが可能ですし、債権者が合意を拒んだ場合でも、裁判官の判断で強制的に調停を終了させる制度まで用意されているのです。

 

特定調停のデメリット

前項の解説をお読みになると、特定調停は「任意整理のお手軽・安価版」というイメージを持たれるかもしれませんが、世の中はそんなに甘くはありません。

まず特定調停では、返済条件などを債務者に有利なものとすることは出来ても、任意整理の様に「利息を免除させる」ことは滅多に出来ないとされています。

また官報には掲載されないものの、やはりブラックリストに載ることは避けられません。

更には、調停によって返済自体は楽になるでしょうが、合意事項は判決と同じ効力を持つが故に、再び返済が滞れば、一発で給料の差押えなどを喰らうことになるのです。

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個人再生

続いてご紹介するのが、個人再生という制度となります。

ここまでお話して来た任意整理や特定調停は、原則当事者同士の話し合いであったのに対して、個人再生は民事再生法という法律の下で、裁判所が借金を大幅に減額してくれるという制度です。

また驚くべきは減額の幅であり、個人再生が認められれば、最大で借金が1/10まで圧縮されることとなり、これの決定に対して債権者は必ず従わなければならないルールとなっています。

但し、これだけ効力の高い借金整理の方法だけに、簡単にその適応を受けることは叶わず、裁判所での煩雑な手続きと、定められた条件をクリアーする必要があるのです。

例えば申請者は裁判所に自分の持つ財産を全て曝け出し、資産と借入れのバランスを判断してもらうこととなりますが、その結果次第では冒頭でお話した様な大きな借入れの減額を受けられない可能性もあります。

また、個人再生が認められた後も、圧縮された借金を返し続けて行かねばならず、これを怠れば、減額の措置も「無かったもの」とされてしまうのです。

※個人再生の詳細については別記事「個人再生の手続き、流れについて解説致します!」をご参照下さい。

 

個人再生のメリット

制度の概要でも申し上げた通り、個人再生最大の利点は借入れの大幅減額が可能な点となります。

また、一定の条件をクリアーしていれば、住宅ローンの返済が残っている自宅などを手放すことなく、個人再生の適応を受けることも可能です。

 

個人再生のデメリット

では反対に、個人再生の問題点を見て行きましょう。

まず個人再生を利用するためには、厳格な法手続きが必要となりますから、申し立てに当たっては弁護士等の専門家に依頼せざるを得ません。

また、正式な手続きであるが故、官報にも名前が掲載されますから、他人に自分の個人再生を知られてしまう可能性があるのです。

その上、債権者への対応は全員に対して公平に行うことが求められますから、親族などに借金がある場合でも、債務の減額を避けることが出来ないため、人間関係が破壊されてしまう可能性も出て来ます。

なお、メリットの部分で自宅が残せる可能性があるとご説明致しましたが、個人再生申し立ての段階で住宅ローンの滞納がある場合や、不動産担保ローンなどを利用しており、自宅に2番抵当が設定されている場合には、自宅を残すことは困難でしょう。

 

自己破産

そして最後にご紹介するのが、自己破産という選択肢となります。

「破産」という言葉を聞くと、人生のどん底というイメージを持ってしまう方も多いと思いますが、自己破産が認められれば、全ての借金は免責となりますから、ある意味では究極の借金問題解決方法とも言えるでしょう。

但し一旦破産となってしまうと、保有している財産(自宅や自動車、高級腕時計、美術品)等は借金の免責と引き換えに差し出さなければばなりませんし、一定の職業には就くことが出来ないなどの制限も出て来ます。

よって、ここまでご紹介して来た任意整理や特定調停、個人再生などでは、どうしても処理しきれない借金についてのみ、破産という選択肢を採るべきなのかもしれません。

※自己破産の詳細については別記事「破産手続きの流れを解説致します!」をご参照下さい。

 

自己破産のメリット

何と言っても自己破産の最大のメリットは、借金が帳消し(免責)になるという点です。

他の借金問題解決の手法では減額は出来ても、債務を失くすことは出来ませんから、これは非常に大きなポイントとなるでしょう。

また、自己破産をすると二度と社会復帰出来ない様な噂が流れていますが、数年経てば再び借入も起こせる様になりますし、破産から7年が経過すれば再度の破産まで可能となります。

 

自己破産のデメリット

続いて自己破産のデメリットをご紹介して参りますが、最強の借金問題の解決方法というだけのことはあり、その副作用も強烈です。

制度の概要の中でもご説明した通り、手持ちの財産の殆どを処分して、債権者たちへの配当に充てなければならませんから、文字通り裸一貫からの出直しということになってしまうでしょう。

また、弁護士を始めとする「士業」の多くや、金融関係などの仕事については、破産者が業務を行うことが出来ないというルールがありますから、場合よっては職を失う可能性も出て来ます。

更には、破産に至った原因が競馬や競輪、パチンコ等のギャンブルであったり、単なる浪費癖によるものである場合には、借金が免責とならない可能性もあるのです。

なお、当然ながら破産者の名は官報に記載されることとなる上、手続きの煩雑さ故に、弁護士に依頼を掛けざるを得ないのが現実でしょう。

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借金問題解決手段まとめ

さてここまで、借金整理の方法4種について解説を行って参りました。

一言で借金問題の解決と言っても実に多くの手法があり、それぞれに特色があるものですよね。

また、全て方法に様々なメリットとデメリットがありますから、どの手法が最も自分に適したものであるかを見極めることこそ、借金問題解決への近道となるのではないでしょうか。

ではこれにて、「借金問題を解決したい人の法律知識」の記事を締め括らせて頂きたいと思います。

 

 

参考文献

弁護士法人ベリーベスト法律事務所著(2016)『自己破産と借金整理を考えたら読む本』日本実業出版社 181pp ISBN978-4-534-05424-1

藤田裕監修(2010)『図解とQ&Aでスッキリ!クレジット・サラ金の法律と実践的解決法』三修社 238pp ISBN978-4-384-04360-0

 

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